世界金融危機時の円高
世界金融危機が本格的に始まると、マーケットは理由もなく円を買っていたように見えました。サブプライム問題からリーマンショック、AIGの救済、モノライン問題、ギリシャ問題、NYダウ過去最大の暴落、ユーロ危機、欧州債務問題など毎日の様にビッグニュースが飛び交い世界恐慌に至るのではないかと思うくらいネガティブなニュースには困りませんでした。気付けばドルもユーロも政策金利は殆ど円と変わらないくらいまで低下し、ドルもユーロも流動性を上げる為にマネタリーベースを大きく増加させました。こうなると円の上昇にさらに弾みがつき、一体どこまで上がるのか分からないくらい強いトレンドとなってしまったのです。
円キャリー取引の巻き戻し低金利通貨である円が金融危機に大きく買われた理由は円キャリー取引の巻き戻しによる物が大きかったと言われています。この円キャリー取引というのは序章でもご紹介させて頂いた様に低金利通貨を売り、高金利通貨で預金する事と同じです。景気が良い時にはそうする事で高い金利を得る事も出来ますし、為替差益もえる事が出来ます。2000年から始まったアメリカの住宅バブルのおかげでこの円キャリー取引はマーケット全体で巨大なポジションとなっていたようです。世界金融危機があらわになるとこのポジションを解消する動きが円買いとなり、さらにトレンドを上昇させていったようです。相場があまりにも急激に変化したので損失確定の円買い(ストップロス)の連鎖があった模様です。
プラザ合意以降の長期円高トレンド
かつて金が通貨として使われていた時代がありました、そしてアメリカドルが唯一金と交換できる通貨として世のなかに広まって行ったのです。なので、現物の金以上に通貨が発行される事はありませんでした。しかし、ニクソンショックによりアメリカはアメリカドルと金の交換を止めると宣言し、さらにはアメリカの双子の赤字を是正する為にプラザ合意によりそれまで固定相場制であった為替相場を変動相場にする事でドルの切り下げを行いました。この時の円高は今とは比べ物にならないくらい早く、たった1日でドル円のレートが20円近くも下がってしまったのです。
このプラザ合意を起点とする長期の円高トレンドは非常に強く、今までの上昇相場においてもそのトレンドラインに何度も跳ね返されてきました。トレードを行うに当たってはこの長期トレンドも頭に入れておきましょう。
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