要旨
最大手の旅行口コミサイトTripAdviserによると、今年の国慶節期間中、人気の高い海外旅行先として、日本はタイに次いで2位となった。中国旅行研究院と旅行会社大手の携程の調査によると、海外旅行の主力は、一人っ子世代である20~30代である。複数の国への旅行や、リピーターも増加している。
政府の施策はさることながら、訪日客の消費意向やその変化は目まぐるしい。主流となる20~30代は中国の高度経済成長の中で育ち、ITやインターネットが生活の重要なツールとして定着しているM世代(ミレニアル世代)が多くを占める。また、一人っ子政策下で生まれた彼らは、自身の価値観や個性を大切にする傾向がある。
今後、こういったM世代の需要を取り込むためにも、Wifiといったネット環境の整備は当然のことながら、SNSやネットによる細かな情報発信、中国国内で日常的に使われているスマホを介したネット決済の整備などがより重要になるであろう。個人旅行が増加すれば、当然、目的地までの地図や交通手段、各種予約などネットを活用しながらの旅行となり、消費はより少額化、分散化されることが考えられる。
日本観光庁の発表によると、2015年の中国からの訪日観光客は499万人。訪日観光客全体の25%と国・地域別では最も多い。一方、中国において、パスポートを所有する人は国民全体のわずか5%と言われている。これまでの訪日旅行客の急増や「爆買」を含む第一波にとどまらず、今後の第二、第三の波を考えれば、早急に新たな対応が必要だ。