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(写真=PIXTA)

新聞でも大きく報道されることがある企業買収。特に大型買収などは世間でも注目を浴びやすく、その後の展開がどうなるのか巷の話題となることもしばしばだ。それでは株価はどうだろうか。保有している株主にとっては、気が気ではないかもしれない。

ここでは、企業買収により会社の株価はどう動くのか、気になるポイントを解説していくことにしよう。

買収された会社の株価はどうなる?

一般的に、上場企業の買収では証券取引所で値がついている株価をもとに買収価格が決定される。通常は株価に対してプレミアムを上乗せすることで、買収価格が決定される。つまり、市場で評価されている株価よりも買収価格が高いことが多いため、保有する株主にとってはメリットがあるといえる。

2007年以降に行われた買収事例の中で、もっとも買収価格が上がった事例として東宝が、コマ・スタジアムを買収したケースを挙げることができる。2008年7月に公表されたものだが、当時の3ヵ月平均株価が1,670円に対し、買収価格は7,400円の提示だった。プレミアムは+343.11%で、なんと平均株価の4.4倍での買収となったから驚きだ。

このように買収株価が大きく吊り上がるのは、含み益が評価されておらず、資産価値が高いケース、東証2部など投資家があまり注目していない市場に上場しているケース、買収企業にとって是が非でも欲しいケースなどがある。

なお、2007年から2016年7月までの段階で公開買い付け(TOB)を行ったケースの平均プレミアムは+39.45%(計543件)。平均でみても、プレミアムの上乗せ幅がかなり高いことがわかる。ただし、すべての公開買い付けにおいてプレミアムが高いわけではない。そのため、買収されたからといって、株主は必ずしも喜べるとはいえないのだ。