買収される会社の株価が上がる?下がる?買収する側は?

上記のように、一般的には買収される会社の株価は上がりやすいといえる。通常は、市場でも買収提示価格に近づくように取引される。

ただし、すべてを買い付けないケース(例:30%だけ買い取る場合など)では、必ずしも市場価格が買収価格に近づくとは限らない。なぜならば抽選で外れる可能性もあり、その後の株価が維持できるかどうかがわからないためだ。中には買収後も上場維持するケースがあるが、その後の事業展開がうまくいっていない場合は株価が下がっていくこともある。また、買収価格が低く見積もられることもあり、その場合には市場価格も低下する恐れがある。

それでは、買収する側の株価はどうだろうか。上場企業同士の買収の場合には、買い手、売り手いずれの株価にも注目が集まることになる。市場が買い手を評価する(買収により今後の事業拡大が期待できる)場合には、株価は上昇する可能性が高い。

一方、買収価格が高いケースや企業規模の割にM&Aの規模が大きい場合には、その後の成長に疑問符や不安がつきまとい、市場ではむしろマイナスに評価されることもある。実際、ソフトバンクのボーダフォン買収などの際には、買収規模が大きく、借り入れに対する不安もあったことから、公表時には株価が下がった(その後見直しがされ、評価された)。

このように、買収側の株価は上がるとも下がるとも言えない。いかに市場との対話ができるか、市場との情報の非対称性を取り除くことができるかにかかってくるものと思われる。

買収による株価変動の要因は最終的には業績次第

買収により、買い手も売り手も株価が変動する。ポジティブな評価ならばプラスに、ネガティブな評価ならばマイナスに評価されることは上記でも説明した。

なお、買収後の株価変動は、市場動向などにも左右される側面があるが、大型買収の場合にはその買収により、売り上げや利益が着実に伸びているのかどうか、投資回収ができているかどうかを市場はチェックしていくことになる。順調に推移している場合には株価も堅調となろう。成功とはいえない場合には株価は低下する恐れがある。

買収によって株価がすぐに上がるとはいえない。仮に評価されてもその後の業績次第では株価が低迷するおそれもある。結局のところ、数年たってみないと評価も定まらないというのが一般的といえよう。 (提供: M&Aアドバイザーズ

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