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(写真=PIXTA)

企業における事業拡大とは、いったい何をさすのだろうか。経営者から見れば、企業の永遠の繁栄をさすといってよい。それでは永遠の繁栄となるためには、どのように事業を拡大すればいいのだろうか。また、その方法としてどのようなことが考えられるだろうか。事業拡大についてわかりやすく解説していこう。

事業拡大とは

事業拡大には、大きく分けて2つある。現在行っている事業そのものを大きくしていく方法と、新しい市場を開拓し新規の事業を拡大していく方法だ。この点について、アメリカの経営学者イゴール・アンゾフの事業拡大マトリックスを参考に説明していこう。事業拡大の方向性として「市場浸透」「新製品開発」「新市場開拓」「多角化戦略」を挙げている。

経営者がまずとるべき事業拡大は「市場浸透」としている。市場浸透とは、既存市場において既存製品もしくはサービスの提供を深堀りし、シェア拡大や認知度向上、売上拡大を図る方法だ。既存事業が柱となり、既存製品における成長の難航や、ある程度市場の成熟が見えてきた場合、同じ市場において新しい製品を開発し投入する「新製品開発」を行う。これにより、既存市場における自社製品やサービスの範囲拡大、利用者の増加が見込め、さらに既存市場を深堀りすることができるだろう。

既存製品を活用した「新市場開拓」も行っていくべきだ。これを「新市場開拓」戦略という。例えば、赤ちゃん用のオムツを製造していたメーカーが、高齢者の介護用オムツ製造へ進出することがそれに当たる。これは、高齢者というそれまで対象にしてこなかった新市場において、既存の技術で製造可能な製品を新市場に投入し市場拡大を図る戦略だ。対象者を変えることは、何も年齢別に限った話だけではない。例えば、日本で成功した事業モデルを海外で売り込んでいくことも、新市場開拓戦略に該当する。

そして、新製品をもとに新市場を開拓する「多角化戦略」だが、既存事業との関連性が高いケースと、関連性の低いケースがある。自動車会社がバイク製造を行う様なケースは、関連性の高い多角化といえるだろう。それに対して、全く関連性のない多角化を推し進めるケースもある。これは既存事業が傾いた場合でも、新規事業が軌道に乗っていれば企業の存続が危ぶまれることはない、という分散投資の発想だ。