物流センターへの投資で低価格実現

生活必需品を取り扱う小売業は、ある程度の需要に支えられるものの、景気がひとたび落ち込めば、消費者の節約志向が広がり売り上げにも影響を及ぼす。

また、コンビニ、医薬品小売業や百貨店などの異業態とのし烈な競争もある。日本スーパーマーケット協会によると、各業態の年商規模は2007年を100とした場合、2012年の年商は、医薬品小売業が130.2、コンビニが126.1と大きく飛躍した一方、百貨店は84.3、スーパーマーケットが96.9と縮小傾向にある。

少子高齢化が進む日本社会では、身近な距離にあり、1人分などに小分けされた総菜などを提供するコンビニの需要が高まる。コンビニは、定価販売をベースに、店頭での在庫を最小限に抑えることで売上総利益率や棚卸資産回転率を上げるのが特徴だ。一方、スーパーは生鮮三品を中心としてリーズナブルな価格で商品を販売。商品の回転は速いものの、売り上げ総利益は低い業態とされる。

外部環境が悪くてもベルクが成長を続ける理由

消費者マインドが冷え込み、ドラッグストアやコンビニなどのライバルの出現の中で、ビジネスを取り巻く環境は楽観できない。こうした状況でベルクが成長を続ける秘訣はどこにあるのか。

大手企業を中心とした企業収益の改善が雇用・所得にも及び、特に雇用者数の高い伸びにより実質雇用者所得が大きく押し上げられている。

ベルクは消費者の低価格志向が依然として根強いと分析し、また、異業態との激化する競争を生き抜くため、「Better Quality & Lower Price」を経営理念として掲げ、消費者の生活防衛意識に応える売り場作りに余念がない。

販売促進として、来客頻度をアップさせるため、ポイントカードを導入。現金の支払い100円に対し1ポイント付与する仕組みで、500ポイントが500円分の買い物券に交換できる。一部の対象商品を購入した場合にはボーナスポイントを加算し、このボーナスポイントが50ポイントに上る商品もある。また、広告でお買い得商品をPRして、店舗への来客を促す。

物流拠点への投資で低価格商品を提供

こうした低価格の商品が提供できるのは、自社の物流センターで、商品を産地やメーカーから大量一括調達し、配送効率を高めているからだ。ベルクは2011年に約17億円を投資して、こうした物流の拠点を整備した。拡大する店舗数をにらみ、それまでの約2倍の床面積を物流センターに確保し、総菜製造工場のラインも2ラインに増強。節分などの催事の時期に商品が品切れとなる事態が発生していたが、設備投資による供給力アップで、低価格とともに品切れ削減を最小限に食い止める取り組みをしている。

また、米や飲料など重量が増す商品を自宅まで届けるサービスも好評だ。25キロまでの商品は100円(税込み)で、12時までに店舗で購入すると、当日の16-18時に自宅に配送する。リーズナブルな価格で利用できる配送サービスは、重い荷物の持ち運びが大変な高齢者などを、スーパーの固定客としてつなぎとめる一役を買っている。

首都圏南部に攻勢

埼玉県に本社を構えるベルクは、これまで埼玉や群馬での店舗数を拡大し、成長路線を歩んできた。今後、店舗数が少ない首都圏南部への出店に向けて追い風となりそうなのが、首都圏中央道自動車道(圏央道)や東京外環自動車道(外環道)の整備だ。

このインフラの整備を受けて、首都圏南部への出店を加速させ、さらなる成長の起爆剤とする方針。ベルクの快進撃がどこまで続いていくのか。今後も目が離せない企業となりそうだ。(ZUU online 編集部)