国慶節期間中、中国では不動産バブル対策として14の大都市が「限購(購入制限)」政策が導入された。

2009年の緊急経済対策に起因する不動産バブルと、その後の制限政策の混乱ぶりが懐かしく思い出される。つまりこれはいつか来た道である。

前回は全国的現象だったのに比べると、今回はいくつかの都市に限定されている。政策の内容を見てみよう。

トップランナーの深セン 急騰の南京

もっとも値上がりの激しい深セン市は10月4日、「当市不動産市場の平穏健康発展促進を進めることに関する若干の措施」を発表した。内容は以下のようなものだ。

(1) 深セン市籍の独身者の住宅購入を1軒に制限
(2) 購入前5年以上深セン市に個人所得税または社会保険を納入している深セン籍以外の家庭は、住宅購入を1軒に制限
(3) この他、購入家庭が深セン市に住宅を持っていない記録、非商業性住宅を貸出しをしていない記録、住宅積立金の記録が必要
(4) 頭金は30%必要、すでに居住用を持つ深セン籍家庭の2軒目購入には70%必要

その他に制限策を発表したのは、北京、天津、広州、鄭州、成都、無錫、合肥、済南、蘇州、武漢、佛山、南京、厦門である。急騰した南京市を取り上げてみる。

南京市は10月5日、「市政府辯公庁の不動産市場調整度を高めることに関する通知」を発表した。

(1) 購入前1年以上、南京市に個人所得税または社会保険を納入している南京籍以外の家庭は、住宅購入を1軒に制限
(2) 南京市籍の独身者(離婚者含む)の住宅購入を1軒に制限
(3) 頭金は30%必要、購入記録や貸出し記録のある者は50%、未婚者(離婚者含む)の2軒目購入は80%以上必要

南京市は前回のバブル時に大騒動を巻き起こした偽装離婚を強く意識している。その他の都市でも基本政策は頭金比率の上昇、とくに2軒目以降に関する規制強化、という点で一致している。いずれもこれまでの促進策を反転させたものだ。

繰り返す不動産バブル

また住房和城郷建設部(住宅都市農村建設部、略称住建部)は、違法行為、信用事故のあった不動産業者と仲介業者45社を公表した。この45社は16都市に及んでいるが、制限策導入の14都市はすべてこの中に含まれている。過熱し、暴発してしまったところだ。

次の焦点は、上海、杭州、福州など値上がり級な大都市、特に中国を象徴する巨大都市・上海の動向である。

清華大学房地産研究所長は、制限策に入った都市の多くはあらゆる面から価格上昇圧力にさらされていると言う。また投機と投資を押さえ、一方で住宅と土地の供給を増加させつつ、値上がりによる正常な不動産需要の減退を招かないことが重要だともしている。

この程度なら誰でも言えるレベルの内容でしかない。とにかくいつか来た道が再び眼前に現れている。また懲りずにドタバタ劇が繰り広げられるのだろうか。

もはや中国の風物詩と化した感さえある。もはや中国人にとって不動産バブルなど大した問題ではないのかもしれない(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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