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(写真=PIXTA)

中小企業の事業承継問題が喫緊の課題となっている。東京商工リサーチの調べによると、2014年は、全国の社長の平均年齢が60.6歳となり、創業社長の高齢化が進んでいる。中小企業はどのように事業継承を行えばいいのか、問題と解決案をここから説明していく。

中小企業主が事業承継で頭を悩ますことは主に3つ

高齢になった中小企業経営者がいつも頭の中で考えていることは、主に「自分がいなくなったら会社はどうなるのか」「後継者に会社の株を渡したら、多額の税金がかかるのではないか」「後継者としたい息子はいるが、とても危なっかしくて任せられない」の3つがある。

一番目の「自分がいなくなったら会社はどうなるか」という心配だが、この問題は後の後継者と税金の問題を解決できれば解消できる。ここでは後継者に誰を選ぶか、自社株をどのタイミングで後継者に譲るかの問題に絞って考えてみる。

後継者を育成してバトンタッチするには時間がかかる。だが、経営者は忙しすぎるからそんな時間はないといって、後継者育成を疎かにしてはいけない。事業承継の1つの柱となる、後継者問題を解決しないまま経営者に万が一のことがあると、内紛が起き、最悪の場合倒産になりかねない。

非上場企業の株価はその会社の資産や、同業の上場企業の株価などを考慮して計算する。経営者が所有する自社株の評価が想定以上で、資本金の何十倍もの評価になることもある。経営者が死亡した場合、相続税の支払いで自宅を売却するケースもある。

後継者は10年以上の歳月をかけて育成することが必要だ

経営者の息子を後継者と定めたなら、時間をかけてじっくりと育てることが大切だ。2年や3年では促成栽培の域を出ない。少なくとも10年位の歳月をかけて、現場から経理、総務の仕事を覚えさせた後に、社長見習いとして役員にするのが良い。

経営者は息子が後継者にふさわしいかどうか、色眼鏡で見ずに判別する必要がある。経験を積ませたからもういいかと、簡単に後継者の椅子に座らせてはならない。会社のため、従業員のために心を鬼にすることも求められる。従業員の中、もしくは外部から後継者を迎えるケースもありうる。