スマートフォンの普及でO2Oが本格化してきました。ヤフーとCCC、ライン、楽天、そしてグーグル、それぞれのサービス展開を追ってみました。
O2Oとは何なのか?
ネット業界では新しい動きが始まっています。今までネットビジネスを展開していた企業はネットの中で消費を完結させてきましたが、ここにきてその戦略に変化がみられるのです。「スマポ」「楽天チェック」これらのアプリの名前を聞いたことはないでしょうか。この2つはどれも同じサービスを行っているアプリです。お店に行ってアプリを起動し、ボタンを押すだけでポイントがもらえる、というサービスを行っています。「スマポ」と「楽天チェック」は楽天グループであるスポットライトという会社が運営しています(2013年10月に楽天がスポットライトを買収し完全子会社化しました)。
このようにパソコンやスマートフォンにクーポンや来店特典をつけ、消費者が実店舗へ来店することを促すサービス展開を「O2O(Onライン to Offライン)」といいます。「価格比較サイトで最安値を調べ購入する」「口コミサイトで商品の情報を得てから購入する」といったものがO2Oの走りと言えますが、現在はアプリなどを使ってさらに大がかりなサービス展開が繰り広げられています。
(1)O2Oがジワリと広がる
O2Oが最近になって広がりつつある背景にはスマートフォンの急速な普及があります。それまでパソコンによって情報を得ていた消費者はスマートフォンを持つことで、いつなんどきでも自分の知りたいときに知りたい情報を手に入れることができるようになりました。O2Oで得られるメリットは少なくありません。消費者は情報やポイントを得られるというメリットがありますし、店舗側には、ターゲットとしている顧客を狙って特典やサービスを付与することができ、効率的に集客を行うことができるわけです。
現在、このO2Oはいろいろな形で広がりを見せています。伊勢丹は頓智ドット株式会社が提供する「tab」を利用してO2Oによるサービス展開をしています。またサンシャイン60内にあるサンシャイン水族館では期間限定で「Ikesu」と呼ばれるスマートフォンアプリを使ったO2Oサービスを行っていました。しかし、これは実店舗が個別に行ったO2Oにしかすぎません。今、楽天を始め、ヤフー、グーグルなどネットの巨人達がこのO2Oに本腰を入れようとしているのです。
(2)ヤフーとCCCとの提携
2013年7月に「yahoo!ポイント」と「Tポイント」が統合されるというニュースがありました。また、「T-ID」と「Yahoo!JAPAN ID」の統一も行いました。ヤフーとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は2012年6月に戦略的資本・業務提携を行い、サービスの統一化に向けて準備をしてきましたが、それが現実になったものと言えます。実店舗におけるポイントサービスを展開していたCCCとネットビジネスを展開していたヤフーがポイントとIDを統一化したことで、ネットと実店舗が横断したポイントサービスが行えるようになりました。そして2014年6月にはヤフーがプライバシーポリシーを改訂し、消費者がTカードを利用して購入した商品の購入履歴とヤフーが収集したウェブ閲覧履歴をお互いに共有できるようにしました。これにより、ただのポイントサービスに留まらず、ユーザー属性や履歴情報の共有にまで話が進み、ビックデータを活用したマーケティング展開が行われることが推測されます。