(3)各社の動向

さて、楽天の動向、ヤフーとCCCの業務提携と見てきましたが、まだ忘れてはならない存在がいます。それが「ライン(LINE)」です。無料メッセージアプリとして今やその勢いに誰もが注目していますが、国内利用者5,000万人、世界での利用者4億人を突破(2014年4月2日発表)という利用ユーザー数の多さは企業側から見れば、O2Oを展開するツールとして大変魅力的なわけです。「購入商品に付いているシリアルコードを入力することで特典スタンプが利用できる」「メッセージにてクーポンを配信して来店を促す」といった利用のされ方がされています。

ちなみにラインでは「実店舗を持たないECサイト事業者、インターネットメディア、オンラインゲーム事業者等、インターネットを用いたサービスの提供を主たる業としている企業」はアカウントを開設できないことになっています。つまり、実店舗を持っていなければ、ラインを利用できないのです。最近では無料通話、EC事業の手数料無料化などと次々とサービスの幅を広げています。また、セブンイレブンもO2Oには力を入れています。無料Wi-Fiサービス「セブンスポット」を展開し、限定コンテンツやインターネット接続サービス(1回最大60分、1日3回まで)を提供しています。


グーグルもすでに動いている

海外に目を向ければ、グーグルもすでにO2Oは意識しています。典型が「グーグルマイビジネス」です。マイビジネスに登録しておくことでユーザーがグーグル検索、マップ、グーグル+ などで情報を探していても、グーグルマイビジネスを通じてお客様と直接つながることができるサービスです。そしてこれから注目をしたいのがグーグルグラスです。グーグルグラスとはメガネのようなウエアラブル端末であり、ポストスマートフォンとも言われている情報端末です。レストラン検索、観光案内、交通情報提供等が、オフラインから取り込んだ情報を元に、すぐさまオンライン情報と繋がり、ユーザーにその場で適切な情報を届けます。店舗であればグーグルに登録することで実店舗近くにユーザーが来た際にグーグルグラス上に実店舗情報を表示、といったレコメンドも可能になるかもしれません。店舗側から見れば、消費者にジャストインタイムでお店情報の提供、広告を配信できるので、効率よく集客できることになります。グーグルのミッションである「インターネットの情報を誰もがわかりやすく使えるようにする」ことがオフラインでも具現化されると言えます。

ただ、懸念もあります。それは「必要性」です。スマートフォンのように常に身に付けてくれるかというところが最大のポイントです。今後、グーグルがこの懸念を解消するようなサービスを打ち出してくることに注 目したいと思います。

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