ジャパンディスプレイ、最悪局面は脱したとの見方から反発

今回はジャパンディスプレイ、神戸物産、アデランスを取りあげたい。

ジャパンディスプレイは中小型液晶パネルの大手メーカー。政府系ファンドの産業革新機構傘下で日立製作所、東芝、ソニーの液晶事業会社が統合して発足した。

9月には、主要取引先である Apple の iPhone の販売低迷で、ジャパンディスプレイの資金繰りが悪化し、メガバンクなど3行に500億円の融資を要請したと伝わり、株は売り込まれた。しかし、10月中旬になると「最悪局面は脱却した」との見方が広がり、一転して値を戻す展開となった。証券会社のアナリストリポートでは、2018年3月期からの業績回復を予想、目標株価を210円から300円に引き上げる動きも見られる。

神戸物産、主力の「業務スーパー」が好調

神戸物産は兵庫県に本社を置く卸売業者。冷凍食品や加工食品などの業務用食品を販売する「業務スーパー」をフランチャイズ方式で展開している。

9月の月次IRで、8月の単体売上高が前年同月比8.5%増、営業利益が96.2%増となったとの発表以来、株価は上昇基調にある。10月20日公表の最新の月次IRでも、単体売上高は3.4%増、営業利益は82.2%増と好調をキープしている。

もっとも、会社側は2016年10月期の連結経常利益や連結純利益について、減益を予想している。「業務スーパー」の好調な業績が株主の利益に直結するかどうかは不透明だ。

ちなみに、今年6月には、過去に行った自社株買いの情報が正式発表前に外部に漏れた疑いがあるとして、捜査当局が金融商品取引法違反で神戸物産の本社を家宅捜索したと報じられた。今後、捜査に関する続報が出て、株価に影響を与える可能性は残っている。

アデランス、MBOで株価急伸

アデランスは14日、経営陣によるMBO(自社買収)の実施を発表した。TOB(公開買い付け)価格は14日終値より29%高い1株620円で、TOB終了後に上場廃止となる見通し。低価格品との競合で業績が悪化しており、投資ファンドのインテグラルの協力を得て経営再建を進める。

2013年にアデランスの株価は、再建への期待から1700円台まで上昇。だが、その後は業績の悪化で400円台まで下落した経緯がある。今回、29%のプレミアムがついているとはいえ、再建を果たせなかった経営陣が主導し、株を安い価格で買い戻すことに批判が出る可能性もある。(ZUU online 編集部)