ストレスチェック,エン・ジャパン
(写真=PIXTA)

ストレスは溜め込むと、従業員にとっても会社にとっても良くない。早めの対策が必要だが、従業員のストレス状況を把握する「ストレスチェック」を行った企業は半分以下という。今後、どれだけ進むか注目されている。

ただストレスチェック済みの企業はまだ少ない。エン・ジャパンが、運営するサイト「エン 人事のミカタ」を利用する従業員50人以上の企業173社を対象に、2016年8月から9月にインターネットで調査した結果によると、ストレスチェックを「実施している(完了した)」と答えた会社は45%と半数以下。さらに「ストレスチェックの準備を進めている」と答えたのは44%と、まだ準備段階の会社も多いことが分かった。

このチェック制度に罰則はなく、チェックが進まない理由の一つとも指摘されている。また、全体のコストがどれだけかかるかも不透明だ。チェック自体にかかる費用はそれほどでなくても、産業医などの面接指導体制や担当部署の設置など会社側としては相当な準備を整えてから、という本音もうかがえる。

今年義務化されたストレスチェック

ストレスチェックは、職場でのメンタルヘルス対策として2016年に義務化された。厚生労働省の導入マニュアルによると、ストレスに関する質問票(選択回答)に従業員が記入し、それを集計・分析する検査で、毎年1回、実施することになった。

従業員が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスを溜めすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったりする。会社側にも仕事の軽減などの措置を求め、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組み、だとしている。

ストレスチェックの大きな目的は、従業員のメンタルヘルス不調防止に加え、従業員自身のストレスへの関心を高め、原因となる職場環境の改善。これをきっかけに企業側にも総合的なストレス対策が求められる。

予定がない企業も 人手不足で後回し?

従業員の心のケアは、会社のあり方や生産性にも関わる。前出の調査では、まだ5%の企業で「実施の予定がない」と答えている。

その理由としては「人手不足で後回しになっている」「情報収集はしているが手が回らない」などが挙がった。そもそも会社はストレスチェックの有無に関わらず、従業員の健康に配慮しなければならないが、未だに予定がない、というのはリスク管理に問題あり、と受け取られかねない。

こうした状況はストレスチェック済みの企業、準備中の企業も多かれ少なかれあるようだ。これらの企業に「ストレスチェック義務化に対応する上で、困難に感じた点」について聞くと、「チェックを行う体制、相談窓口などの構築」、「全社員に受診させることの難しさ」、「高ストレス判定の社員が医師面談を希望しない可能性」がそれぞれ42%と並んだ。

「チェック結果の正確性」を挙げる企業も31%と3割を超え、「個人情報の保護」(30%)、「回答の信憑性」(29%)なども指摘された。「受診結果が会社に通知されないこと」(23%)と答えたケースについては、個人を特定する情報を会社側が入手することは禁じられているため、活用法を模索している状態なのか、判断が分かれるところだ。

社員のストレス状況把握に役立った

一方、ストレスチェックを実施していると回答した企業に、ストレスチェックを実施したことで良かった点や問題点はあるか聞いたところ、最も多かった回答は「社員のストレス状況を大まかに把握できた」(46%)だった。ただ、「管理職がストレス緩和に関心を持つようになった」と踏み込んだ意見は19%と意外に少なく、職場段階では認知度がまだ低い状況だ。

また、問題点として「形だけ実施するのみにとどまり、効果はない」(17%)といった断定した意見もあった。

厚生労働省の想定するストレスチェックは、回収した質問票をもとに、医師などの実施者がストレスの程度を評価し、高ストレスで医師の面接指導が必要な者を選ぶとなっている。この高ストレスとは、自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者としているが、本人が申し出るかどうかは、別の問題。自己申告制度でもあり、ストレスを大げさに捉える人ばかりが目立ち、本当に抑うつ状態の人が見過ごされる可能性もある、と指摘する医師もいる。

ただ、先の回答のように従業員自身にストレスへの気づきを促す、といった点では、認識が進む兆しが見える。調査では「社員自身がストレス緩和に関心を持つようになった」というのは17%だったが、会社全体で評価する声が高いことから今後ストレスチェックが進むに従い、増えていくものと予想される。

調査で分かった実施済み企業がまだ半分以下という結果は、ストレスチェックのやり方も問うものだ。厚生労働省では、ストレスチェックを2016年11月30日に終えるよう伝えている。駆け込みで増える企業が今後増えるのか、注目したい。(ZUU online 編集部)

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