複数の英職場サーベイから根強い男女格差が浮き彫りになっている。他国同様、英国でもキャリア面での男女格差は改善されておらず、所得差や出世条件への不満に加え、若い女性職員の過半数が「職場でのセクハラ経験がある」と回答するなど、女性にとって「働きやすい環境」とはほど遠いようだ。

こうした風潮はまだ就業していない若い学生世代にも感化し、男子学生の2割が「男は出世に有利」と感じているのに対し、女子学生の4割が「女性は出世に不利」と感じている。

英最大手スーパーの女性従業員がもたらした「革命」を活かせるか?

英国王立チャータード・サベイヤーズ協会(RICS)が今年2月に発表したレポートでは、13歳から22歳の若者のうち、女子の41%が「自分の性別が将来キャリアの妨げになる」と受けとめているのに対し、同様の受けとめている男子はわずか4%。逆に20%は「自分の性別が将来キャリアの強みになる」とポジティブだ。

男女格差問題で頻繁に取りあげられている労働時間や所得、キャリア展望に加え、特に若い女性にとってはセクハラも大きな問題である。

近年セクハラが悪化傾向にあるといわれる英国では、18歳から24歳の女性の約3分の1が職場で不快な経験があることなどが、英労働組合会議(TUC)の調査からも判明している。最も多いのは「性的なジョーク(32%)」や「体型や洋服に関する性的なコメント(28%)」で、実際に「体に接触された」女性は20%にのぼる。

TUCは若い女性が職場でセクハラのターゲットにされやすい理由として、キャリアを積み始めたばかりで所得が低いことや職場での地位が確立されていないことなどを挙げている。女性ならではの弱みにつけこみ、悪事を働くセコイ男が多いということになる。

しかし10月14日、かねてから裁判に持ちこまれていた英最大手スーパーマーケット、ASDAの男女間の賃金格差問題で従業員側に勝訴がもたらされたことにより、今後英国での男女格差に大きな転機が訪れる可能性は期待できる。

この裁判はASDAの何千人という女性従業員たちが一丸となり、不公平な賃金格差を社会の明るみに引きずりだしたものだ。これらの女性従業員たちは男性と同じ職務をこなしていたにも関わらず、平均時給が1ポンドから3ポンド(約127円から382円)低く設定されていた。ASDAが過去の格差を埋めるために13万人の従業員に支払う総額は、2002年からだけでも1億ポンド(約127億4025万円)に達すると推測されている。

今後ほかの企業で働く世界中の女性間でも同様の活動きが活発化していけば、いずれ本当の意味で女性が輝ける職場環境が生みだすことができるかも知れない。(ZUU online 編集部)

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