2014年6月9日、東京商工リサーチが発表した5月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比20.2%減の834件と、5月として23年ぶりに900件を割り込む低い水準となりました。消費税引き上げの影響が懸念された小売業、卸売業とも前年実績を下回りました。しかしながら、人手不足や人件費上昇などが顕在化し、企業倒産の新たなリスク要因になりつつあります。人件費上昇が影響した倒産は1~5月期で9件あり、2013年通年実績10件に既に近づいており、今後の動向が注目されます。
東京商工リサーチが発表した5月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比20.2%減の834件と、5月として23年ぶりに900件を割り込む低い水準となり、中小企業の景気回復の兆しが見えてきました。産業別では、10産業のうち8産業の企業倒産件数が前年を下回りました。また、負債総額は0.4%減の1726億4100万円で、4か月連続で前年を下回っています。負債1億円未満の小規模倒産が595件と全体の7割を占めています。
一方、人件費上昇が影響した倒産は1~5月期で9件あり、2013年通年実績10件に既に近づいています。人手不足や人件費上昇が企業倒産のリスクとなっています。「職人不足による工事の遅滞や中止」、「製造現場での人手不足のための生産の遅れ」、「アルバイト採用難による外食産業での営業時間短縮や店舗閉鎖」が実際にニュースなどで多く報道されています。求人難による倒産も出てきているのです。5月までの2014年累計の人手不足関連の倒産件数のうち、倒産理由として、「後継者難」が104件、「従業員退職」が5件、「求人難」が5件となっていますが、「求人難」が5月に3件発生しており、非常に気になるところです。
さらに、休廃業・解散件数にも着目する必要があります。2013年の休廃業・解散件数は2万8,943件で、過去10年で最多となりました。倒産件数が減少する中、休廃業・解散は年々増加しているのです。産業別では、休廃業・解散の最多は建設業の8,535件です。人手不足、建築資材高騰などが休廃業・解散の理由となっています。次いで多いのが、飲食業・宿泊業の休廃業・解散件数6,497となっています。10産業中6産業で休廃業・解散が前年比増加していますので、これら「隠れ倒産」の存在にも注目が必要です。
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