不動産売買時に売主と買主がそれぞれの仲介業者に支払う成功報酬、すなわち仲介手数料を「買主無料」とする不動産会社が増えてきました。Google検索で「仲介手数料無料」とキーワードを入れて検索をすると、およそ1150万件も表示されます。同じ物件を購入するのなら、少しでも費用を抑えたいという消費者の気持ちに応えるものです。
しかし、その実情は玉石混交です。では一生に一度あるかないかという大きな買い物のパートナーは、どのように選んだらよいでしょうか。今回は、その選び方について、ホームページ、メール、店頭とそれぞれの段階での注意ポイントを探ります。
ホームページでは、仲介手数料以外の内容に注目
ホームページでは、仲介手数料が無料となるシステムはどのような場合にどう適応になるのか、を明解に説明しているかを確認するとともに、手数料以外の項目を見極めます。
誇大広告の有無。ホームページはその会社の「顔」です。お客さまに何を、どのように伝えようとしているのかという会社の姿勢を読み取れます。
宅地建物取引業法(宅建業法)は、一般消費者が宅地・建物の取引の知識や経験の乏しいことを前提に、消費者の損害防止と利益保護のために定められた法律です。この宅建業法では、「虚偽・誇大広告」を禁止しています。「激安、格安、特価、特選、お買い得、特別サービス」などの言葉が躍っていたら、違反している可能性があるので避けた方が賢明です。
希望条件との適合性。どんなに素晴らしい会社でも、希望する物件条件の取り扱いが得意ではなかったら、良いパートナーとは言えません。
一口に不動産会社といっても、新築マンションのデベロッパー、建物の設計・施工を主とする会社、売買の仲介を主とする会社、管理を主とする会社などさまざまです。また、売買の仲介を主とする会社の中でも、新築・中古、戸建・マンションなどの種類や地域など、得意分野が異なっています。会社の規模にもよりますが、「全てお任せください」とうたう会社よりも、自社の強い分野や地域を説明している会社の方がその分野に強い傾向にあります。
営業担当者の専門性。どんなに会社のシステムが良くても、業務は営業担当者がほぼ一人で行いますから、営業担当者の業務能力や姿勢がそのまま取引に反映されます。
まず、営業担当者のプロフィール公開の有無と、その中に「宅地建物取引士(宅建士)」という住宅の売買や賃貸の仲介などに不可欠な国家資格の記載があるかを確認します。宅建士は契約時の重要事項説明も行います。法律上の義務は従業員5人に1人以上の宅建士設置ですから、全ての営業担当者が資格を持っているとは限りません。専門性が高い有資格者の営業担当者の方が望ましいと言えます。
メールでは、誠実な対応に注目
ホームページで良さそうな仲介手数料無料の会社だと判断したら、まずはメールで疑問点を問い合せてみましょう。その対応に、会社の基礎力が現れます。
翌日までの返事。不動産会社の休日を除き、翌営業日までの返事が求められます。質問内容によっては日数がかかる場合もありますが、問い合わせの御礼と返答期日のお知らせメールは送ることができます。特に中古物件の購入は時間勝負となることがありますので、反応の早さは重要です。
丁寧な言葉。メールでの言葉遣いや全体的な印象は、営業担当者としての素養を示します。また、押し付けや強引さなどを感じたら、厳しい売上げノルマを課せられている可能性もあるので要注意です。
的確な内容。質問の意図を正確にくみ取り、明解に回答しているでしょうか。あやふやな答え方や、良いことばかりを強調して悪いことは隠そうとする応え方、内容がずさんな添付資料などでは、信頼できる物件探しや取引は期待できません。
営業店舗では、五感で判断
メールも及第点の仲介手数料無料の会社と判断したら、一度店舗に行ってみることをお勧めします。会社と担当者を直接体感することで、パートナーとしての総合判断を下すことができます。
きちんとした店内。豪華な必要はありませんが、清潔で整然としているでしょうか。また、宅建業法で定められている「宅地建物取引業者票」と「報酬額表」も確認します。
営業担当者との相性、仲介手数料無料システムのサービス範囲とオプション料金、自社物件数(売主からの依頼数)、会社の強みと弱みなどを質問することで、営業担当者の自社サービスへの自信と、分かりやすく説明する力が分かります。自分の購入希望条件を伝えて、類似案件の経験や助言を聞いてみると、建物・融資の知識や、交渉力も垣間見られます。そして、実際に会って感じた印象も含めて、報告・連絡・相談など円滑なコミュニケーションを図れそうか、「総合的な相性」を考えてみます。家族で買う物件なら家族の合意も重要です。
誠実な不動産会社を見つけ、誠意ある専門家の営業担当者に出会えることが、安全かつ満足のいく不動産の購入につながっています。その会社が仲介手数料「無料」ならば一石二鳥です。(提供= 不動産流通システム )
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