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(写真=PIXTA)

中国のネット物流会社、ZTO Express(中通快逓)が10月27日、14億ドル(約1469億8600万円)という資金調達額とともにニューヨーク証券取引所に上場した。米国における今年のIPO(新規上場株式)では最大規模で、英金融情報プラットフォーム「ディールロジック」のデータによると、2014年のアリババの250億ドル(約2兆6245億円)に次ぐ、大型中国企業の米IPO市場進出となる。

今年7月、同じくニューヨーク証券取引所に上場を果たした際、13億ドル(約1364億7400万円)の資金調達額が見こまれていた日本の「LINE」など、昨年とは打って変わってアジア勢の勢いが目立つ。

昨年から一転、今年は再び中国企業の米上場当たり年?

拡大するeコマース市場の波にのり、昨年の物流件数が米国の1.5倍に匹敵する207億に達した中国。4大物流会社のひとつとして、貨物数の14.3%を独占しているのがZTOだ。発行株式数は7210万株。時価総額130億ドル(約1兆3647億円)の巨大企業である。

しかし公開価格をはるかに上回るなど上場当初は絶好調だったアリババとは異なり、初日終値は16.57ドル(約1740円)で公募・売りだし価格を15%下回るなど、若干肩すかしの結果となった。翌日、28日の終値は若干上向きの16.99ドル(約1784円)だった。

ZTOの物流の75%から80%がアリババ経由という強みに加え、中国のeコマース市場が今年は9112億ドル(約95兆6578億円)を突破すると見こまれていることから、投資家間では希望と警戒心をいだきつつ当分は様子見といった感が強い。

アリババへの依存度の高さが弱みにも変わりかねないリスクは否定できないが、本国・海外での事業拡大計画がCFOのジェームズ・ゴウ氏から明らかにされるなど、期待できる要素もふんだんにある。

昨年は米株式市場で不発が続いた中国企業。合計14社、調達総額291億ドル(約3兆549億円)と絶好調だった2014年から一転、2015年に上場を果たしたのはわずか6社。調達総額は3億4900万ドル(約366億4500万円)と社数も規模も著しく減った。

今年はZTOを含む6社がすでに総額20億ドル(約2100億円)の上場を果たしている。ほかにも2017年を目途に通称「Ppdai」で知られるP2P会社、Shanghai Paipaidai Financial Information Serviceが上場準備を進めていることなどが、複数の米メディアに報じられており、今後に期待がもてる流れといえそうだ。

その反面、海外上場を目指す中国企業に関し、今年5月に中国証券監督管理委員会(CSRC)が調査を開始。国際市場進出を糧に、中国本土での評価や利益を押しあげた後、再び本土での上場を試みる企業が一部に見られることに懸念を示している。(ZUU online 編集部)

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