「夫の就業状態が離婚率に影響する」という衝撃的なレポートを、ハーバード大学社会学部のアレキサンダー・カイルワルド教授の協力のもと、米社会学組織、ASRが発表した。

カイルワルド教授によると、長年安定した職業に就いている男性に比べ、無職あるいは無職の時期が長かった男性の離婚率は30%も高いという。この傾向は時代とともに強まっているが、女性の社会進出が背景にあるとされている。

時代とともに夫の就業状態に対する妻の意識が変化

この調査では1970年代から現在までの、米国における離婚経験者のデータを分析。男性が家計を支えていた1970年代には、安定した職業に就いている男性の離婚率2.5%に対し、無職・無職期間が長かった男性の離婚率は3.3%と、わずか0.8ポイントの差しかなかった。

ところが女性のパート勤務が徐々に目立ち始めた1975年以降、徐々にその差が開きだす。しかし当時は一家の大黒柱はあくまで男性側にとどまっていた背景から、カイルワルド教授は「女性の社会進出が離婚率上昇の直接原因になったのではなく、むしろ妻側の「夫の就業状態」への意識に変化が生じた結果ではないかと見ている。

そうした憶測を裏づけるように、妻が常勤職に就いている共働き家庭の離婚率が高いという事実はいっさい認められていない。データが示す離婚のリスクは妻の就業状態には無関係で、すべて「夫が働いているか」に起因している。

女性の社会進出は比較的新しい風潮だが、「男性は常勤で働くもの」という固定観念は古くから社会に根づいている。女性のパート勤務は「働く母」などと激励されるが、男性のパート勤務は「なぜ常勤ではないのか」とネガティブに受けとめられることが多い。

例えリストラなどやむにやまれぬ事情が背景にあった場合でも、やはり男性にとって肩身の狭い状況に変わりはない。「働きたくても働けない」夫の苦境を、「本当は働きたくないから働かない」と受けとめる妻が増えているのではないかとの見解を、カイルワルド教授は示している。

真相はどうあれ、働く女性が当たり前になった現代社会において、安定した職業に就いていない男性に対する風当たりがきつくなったのは疑う余地がない。「結婚は愛情だけでは成り立ちにくい」というシビアな現実だ。

なおこのレポートには近年増加傾向にある主夫(家事や育児を妻に代わって担当するハウス・ハズバンド)や同性愛カップルのデータは含まれていないため、家庭での役割や性別がどのように影響するのかについては不明である。(ZUU online 編集部)

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