「世界成人識字能力ランキング」の2016年版が発表され、日本が首位に輝いた。2位には同じく教育制度の質の高さで定評のあるフィンランド、3位にはオランダが選ばれている。

このランキングは経済協力開発機構(OECD)が、世界35カ国・地域の大学卒業生(現役学生をのぞく25歳から63歳)の試験データに基づき作成したものだ。数々の大学ランキングでは毎年陥落傾向が加速している日本が1位とは、若干意外なようでもホッと胸をなでおろすようでもある。

対照的に世界大学ランキングでは常に上位を独占している米国、英国(イングランド)は、ギリギリトップ10入りという結果だ。アジア地域で勢いのある韓国、シンガポールも圏外に。この落差は一体どこで生まれたのだろう。

土台となったOECDのレポート「図表でみる教育」は、各国の教育システムの構造、財政、および成果についてのデータを提供する目的で作成された。つまり高度な識字能力、数的思考力などを含めた高等教育までの水準を評価する意図が強い。

そのため大学の評判や論文などを重視する従来の教育ランキングとは異なり、このランキングでは成人の識字能力に焦点を当てている。識字能力調査では5段階の水準が設定されているが、レベル4以上に達している日本の成人は約4割。23位の韓国の2倍ということになる。世界平均は2割強だ。

また現役学生の学力ではなく、非常に幅広い年齢層のデータを利用している点も大きい。卒業間もない25歳と63歳の教育制度に著しい差が見られるのは、どこの国でも共通する変化だろう。それに加えて調査の協力層に偏りがあったとの指摘もでている。

こうした背景をすべての考慮にいれると、「日本の高等教育水準は世界一」と浮かれるのは早とちりということになるのだろう。欧米メディアの日本やフィンランドを持ちあげる反応を鵜呑みにせず、あくまで各国・地域の成人の学力水準を測定する目安として役立てる程度のとどめ、水準以上のレベルを維持し続けると同時に、苦手分野を克服する方向に目を向けた方が建設的かと思われる。

高度な識字能力の成人が多い20カ国

20位 エストニア
19位 デンマーク
18位 フランス
17位 アイルランド
16位 ドイツ
15位 オーストリア
14位 北アイルランド
13位 カナダ
12位 ポーランド
11位 チェコ共和国

10位 米国
9位 イングランド
8位 ニュージーランド
7位 ベルギー
6位 ノルウェー
5位 オーストラリア
4位 スウェーデン
3位 オランダ
2位 フィンランド
1位 日本

(ZUU online 編集部)

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