ポートフォリオを組む際に気を付けたいこと
トランプ氏の勝利も想定外だが、市場の動きも大方の予想とは正反対に動いた。それでは米大統領選挙の今後、どのようなポートフォリオを組めばいいのだろうか。その前にまず、ポートフォリオを組む上で、気を付けておきたいことについて確認してみよう。
ポートフォリオとは、「資産の組み合わせ」のことを指す。資産運用を行う際には、日本国内だけでなく、先進国や新興国など海外も投資の対象とし、また、株式以外にも債券なども組み合わせることが大切だ。ではなぜ、国内以外も投資対象とする必要があるのか。それは、日本と世界とでは経済成長に差があり、また、毎年どの国が成長するかを見極めるのは非常に難しいため、広く世界に投資しておくことが重要になるからだ。何より、リスクを分散させるためには、地域と資産を分けて、ポートフォリオを組むことが必須である。
特に、外国資産を組み入れたポートフォリオは重要となる。資産運用で収益を得ようとする時、その国の経済成長を前提とするため、国内総生産(GDP)の伸び悩む日本の株式・債券だけへの投資では、充分な収益が得られない可能性があるからだ。これを踏まえたうえで、今度どのようなポートフォリオを組むべきなのか考えていこう。
米大統領選挙後のポートフォリオはどうするべきか
それでは、米大統領選挙後のこれから、おすすめするポートフォリオをご紹介しよう。ポイントとしては、今後市場の流れが円高へ向かった場合でも有効なポートフォリオを組むこと。そのためには、ある程度外国資産を積極的に取り入れていきたい。
円高が進むと、短期的に見れば、外国資産を円換算した後の収益は低下する。しかし、中長期的な視野で考えれば、海外輸出産業の競争力が相対的に高まることで、海外の経済成長が促されることになる。となると、円高だからといって国内資産の割合をあまりに高くし過ぎるのは、かえって逆効果の可能性もある。反対に、世界の経済成長に目を向け、その恩恵にあずかることができれば、高い運用成績を期待することができるだろう。
ちなみに、日本の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオは以下のようになっている。
・国内株式…25%
・国内債券…35%
・外国株式…25%
・外国債券…15%
国内資産と外国資産の割合は6:4だ。さらに、国内債券の割合は35%と最も高くなっている。しかし、マイナス金利政策の進む現状を考慮すると、国内債券の比率を優先的に高くする必要性は低下していると言えよう。となると、外国資産の比重を高めに設定した以下のようなポートフォリオはいかがだろうか。
・国内株式…25%
・国内債券…15%
・外国株式…30%
・外国債券…30%
国内資産と外国資産の割合をGPIFの基本ポートフォリオと逆にし、さらに、国内債券の割合を低く設定することで、収益性を高める狙いがある。米大手総合情報サービス会社「Bloomberg」のデータを元にSMBC信託銀行が作成したポートフォリオの運用シミュレーションによると、過去の円高が進行する局面においても、国内資産だけより外国資産を組み入れたほうが運用成績はよく、外国資産を加える意義は大きいと言えよう。
「トランプショック」は市場に思わぬ形で影響を与えた。今後、トランプ氏の発言により、為替や経済が右往左往することもあるだろう。一喜一憂するのではなく、どんな状況になっても淡々と利益を積みませるポートフォリオ作りが鍵と言える。それにはリスクを一定限に抑えて最大限リターンを狙う戦略が必須だ。
今はまだ選挙を終えたばかり。次期政権の政策やそれに伴う世界経済の行方をしっかりと見守っていきたい。
武藤 貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)
、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーや執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。
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