フォルクスワーゲン(VW)がブランド再編計画の一環として、2020年までに3万人の大型人員削減を実施することを発表した。

ドイツ国内の主要ブランドからパート勤務者や早期退職者2万3000人を削除し、電気自動車部門に9000人を新雇用する条件で、労働組合と合意に至ったものだ。マティアス・ミュラCEOは「VW史上最大の再編になる」と、新生ブランドへの意気ごみをあらわにしている。

ディース取締役会会長「より効率的なブランドに生まれ変わる」

昨年の排気ガス不正スキャンダルの影響で、世界のトップブランドの王座から一気に転落したVW。当然ながら生産台数は頭打ち。アウディやポルシェ、ベントレーなど傘下ブランドの人気でかろうじて2位の座にとどまっているが、それまでの首位はトヨタに奪われている。

トヨタの従業員数がVWの約5分の3であることを考慮し、今回VWが打ちだした削減策を不足と見なす声もある。しかしVWは年間37億ユーロ(約4341億4944万円)のコスト削減を見こんでおり、営業利益率を今年目標の2倍となる4%まで引きあげる狙いだ。6%を目標としているルノーやPSAグループにはおよばないものの、立て直しの第一歩にはなる。

人員削減は北米、ブラジル、アルゼンチンでも実施される予定である。市場は再編計画に踏みだしたVWを評価し、株価は一時2%上昇。今月ロサンゼルス・オートショーで発表された新型「パサート GT」なども、市場にアピールする材料となっている。

2025年までには30台の電気自動車発表を目指しており、今後は開発分野への投資を強化する構えだ。

乗用車ブランド部門のヘルベルト・ディース取締役会会長は「VWはより効率的なブランドに生まれ変わる」と、新たな経営戦略への期待を見せると同時に、排気ガス不正問題で影響を受けた被害者に対して「問題の根本の解決に向け、全力で取り組んでいる」と改めて謝罪し、「新生VWに期待してもらいたい」とコメントした。

VWが大胆な再編によって、再び世界一のブランドとして認められる日が訪れるのかどうか、現時点ではわからない。一度地におちた信用をとり戻すのは至難の業だ。長く、複雑にいり組んだ戦いとなることを覚悟のうえでの再編なのだろう。(ZUU online 編集部)

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