Brexitによって新たな時代の幕を開けようとしている英国だが、変化の波は国を象徴する存在である英王室にも押しよせているようだ。
英防衛省の発表によると、バッキンガム宮殿の近衛兵数が英歴史上最低水準まで落ちこんでいるほか、宮殿の改修費用3億6900万ポンド(約505億2651万円)を、英王室で自己負担するよう求める声が国民からあがっている。
宮殿改修費用に公的資金注入 24時間で5万人以上の国民が反対署名
バッキンガム宮殿を護衛する理想的な近衛兵の数は330人とされており、最高410人まで採用することが許可されている。しかし2011年に実施された防衛費削減のあおりをうけ、現在はわずか260人まで減っている。
衛兵不足が深刻化しているのはバッキンガム宮殿だけではなく、近衛ウェールズ連隊も230人という小規模に縮小。将来的には両連隊が合併される可能性もあるという。
1642年、チャールズ一世によって創設されて以来、解散、復興を経験しながらも現代に受け継がれてきた近衛連隊。世界中からの観光客を楽しませるロンドン名物としてだけではなく、英王室の安全を守るための存在として重視されていることはいうまでもない。
皇室関係者からはロイヤルファミリーの安全を懸念する声があがっており、英陸軍の元将軍、リチャード・ダナット卿も、「50億ポンド(約6846億4115万円)の追加防衛費を投じるべき」と主張している。
もうひとつ、皇室に不穏な影を投げかけているのは、バッキンガム宮殿の莫大な改修費用だ。財務省はエリザベス女王二世の年間ソブリン助成金を66%増やすことで、宮殿の修繕費用をまかなう意向を発表。つまり公的資金が注入されるということだが、これに対して国民から激しい反発の声があがっている。
今回の改修は、老朽化した電気配線、鉛配管、ボイラーなどの交換を含む大がかりな工事となる。労働党などは「バッキンガム宮殿は英国の記念建造物であり、国全体で存続を支援すべき」との見解を示しているが、オンライン請願サイトには24時間で5万人以上の反対署名が集まるなど、国民の怒りは頂点に達しているようだ。
貧富の格差が拡大し、経済的圧力にあえぐ国民の不満が引き金となったBrexit。その直後に発表された巨額の支出だけに、「経済的に余裕のある皇室が負担すべき」との動きがでるのは不思議ではない。
最も最近のデータによると、ロイヤルファミリーへの助成金は、クラウン・エステート(女王の土地・不動産)の年間利益の15%、4560万ポンド(約62億4095万円)とされているが、改修工事の完了を予定している2017年までは25%に引きあげられることになる。
財務省は公的資金を投じる理由として、皇室がすでにコーンウォール公領の利益を慈善団体に寄付していることに加え、クラウン・エステートが委員会の管轄下にあることなどを挙げている。(ZUU online 編集部)
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