米国で過去4回にわたり、1万1000人を対象にした大規模な金融IQテストが実施され、若年層(15歳から24歳)の正解率の平均値は64%であったことが判明した。
30問4択式のテストが15歳から18歳を対象にしたものであったことを考慮すると、金融リテラシーを義務教育のカリキュラムに組み込んでいる経済大国としては、その成果が十分に反映されているとはいいがたい。しかしその反面、お金に関する知識の大切さを理解している若者は多いようだ。
日本の若者の平均値は42.9% 賢い資産運用には知識と経験の両方が必須?
「米国金融リテラシー・テスト(NFLT)」は米国金融リテラシー会が2012年から定期的に実施しているもので、「学習への向上心」「リテラシーの知識」「リテラシーの認識」に重点を置いた教育カリキュラムに沿った内容になっている。
2012年1月から2015年12月にかけての、15歳から18歳(合計6544人の学生)の平均スコアは60.35%。「経済的リスクを回避するための商品を選べ」といった初歩的な質問には71.05%が正解しているが、「21歳から毎月100ドル(約1万1077円)を投資し始めた場合、リターンが7%だと70年後にはいくらに増えているか」など、少し複雑な問題になると、正解率が27.9%まで一気に落ちる。
同じテストをほかの年代に行ったところ、25歳以上の平均スコアはいずれも70%を上回っていることから、金融についての知識は、リテラシーよりも実際の経験をとおして身につく要素が強いのではないかと推測される。
しかし基礎的な知識がなければ経験から学ぶことも難しく、リテラシー教育が時間の無駄であることを示すものではない。現に18歳から24歳によるサーベイ結果では、1100人中51.4%が将来最も役立つ高校の科目に「資産運用管理(パーソナル・ファイナンス)」を挙げている。数学や科学といった人気科目の約3倍の数字だ。
またNFLTのデータからは、大都会に住む年間所得5万から7万4000ドル(約554万から820万円)の層の64.4%が、高校で「資産運用管理」を専門的に学んだことなどもわかっている。
こうした点を考慮すると、金融リテラシー教育の成果が直接的・間接的を問わず、未来の米経済の基盤づくりに貢献していることがわかる。いかにして総体的な生活スキルとしての金融リテラシーレベルを引きあげていくかが、今後の重要な課題となりそうだ。
日本でも今年、同様のテストが初めて全国規模で実施された。金融広報中央委員会の報告書によると、18歳から29歳の平均スコアは42.9%。最も正解率が高かったのは60代(63.3%)だった。(ZUU online 編集部)
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