ドナルド・トランプ氏の予想外の勝利は、米国の大学で学ぶ世界中の大学生にも大きな波紋を投げかけている。

当選確定直後に、カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で1000人以上の学生が抗議デモを行ったのを皮きりに、シカゴ大学などでも数百人の学生による反トランプ運動が発生した。学生からの反発は主にトランプ氏の移民批判に基づくものだが、移民・留学生間では「過半数の米国人に拒絶された」という悲観的な声も聞かれる。

メキシコ人学生「MBA学生は米国の問題解決に取り組むべき」

「人種のるつぼ」という形容がぴったりと当てはまる米国の大学。国際教育研究機関(Institute of International Education)の2015年のデータによると、米国の大学・大学院に在籍する留学生総数は97万4926人。全米大学生数の4.8%に値する。

選挙運動中からトランプ氏が繰り返し声を荒げていた移民受けいれ制限が、まさに現実のものになろうとしている今、これらの学生が受けるネガティブな影響が懸念されている。
トランプ氏の移民政策では、具体的には永住権の発行数を最低20%、最高60%まで削減し、出入国審査も強化される。米国内での出生で自動的に発行されている米国籍も、トランプ氏就任後は廃止される可能性が高い。

表向きは留学生を歓迎するコメントを発表しているトランプ氏だが、実際は交換留学生やインターンなどに発給している交流訪問者ビザの廃止や、技術者向け就労ビザの制限を提案するなど、言葉とは裏腹の動きが目立つ。

仮に留学生の受けいれ体制が維持されたとしても、その後の就労環境や移住環境にはなんらかの変更が加えられるとの見方が強い。米国での就職を視野にいれている学生にとっては、歓迎できる雲行きではない。

選挙後、同校のポータルには留学生、あるいは米市民権を得た学生から、数えきれないほどの投稿が寄せられている。

「卒業後に米国で就職口を探すという夢を叶えられず、帰国する羽目になるだろう」といった将来への焦燥感を表す意見にまじり、「トランプ氏の勝利によって、(自分を含む移民が)米国人の過半数から受けいれられていなかったという事実に衝撃を受けている」という、移民学生からのコメントも目につく。

メキシコ人の学生は、「ハーバードMBAの学生として高水準な教育を受けられるという特権が、多くの米国市民との温度差を生みだしているのかも知れない」とし、「MBA学生は未来のビジネスリーダーとして、米国がかかえる不平等性は貧富格差問題に取りくむべきだ」と前向きに受けとめている。

選挙前に実施された統計では、ハーバード・ビジネス・スクール企業戦略コースのMBA学生90人中、トランプ氏の支持者はわずか3%だった。対するヒラリー・クリントン候補は、米経営大学全体の統計で82%の支持率を誇っていた。(ZUU online 編集部)

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