かっぱ寿司,回転寿司業界
(写真=PIXTA)

かっぱ寿司の運営会社カッパ・クリエイトの株価は、2004年に史上最高値3800円を付けて以降、経営難で低迷が続いている。10月27日には大幅な業績の下方修正を発表して話題となった。かつて業界1位だった同社になにが起こっているのだろうか。

回転寿司業界は競争がかなり激化してきており、8月には中堅回転寿司チェーンの「かいおう」が倒産した。いつも賑わっているように見える回転寿司屋だが競争は激化傾向にある。その中でかつて業界1位だったかっぱ寿司になにが起こっているのだろうか。

カッパ・クリエイトは今期利益予想を半減に下方修正

カッパ・クリエイトは、10月28日に2017年3月期の中間決算(4−9月)発表を控えた10月27日、業績の大幅下方修正を開示した。前16年3月期決算発表時の4月に出した17年3月期中間期の売上予想434億円(前年度比3%増)、営業利益19億円(同46%増)を売上399億円(同8%減)、営業利益1億円(同93%減)に下方修正。17年3月期通期予想に関しても、売上867億円(同8%増)、営業利益38億円(同49%増)を売上827億円(同5%減)、営業利益19億円(同49%減)にそれぞれ大きく下方修正したのだ。本業の収益を表す通期の営業利益は期初見込みに対し半減する。翌28日の株価の下落幅は35円安(2.8%安)の1218円と売られはしたが、大幅下方修正後にしては反応は限定的だった。

それは、同社が7月28日に発表した第1四半期の決算で2億円の営業赤字を計上したにもかかわらず中間期、通期予想は据え置いていたためだ。赤字計上後の翌7月29日には116円安(8.6%安)の1231円と大きく売られ、その後の戻りも鈍かったため、今回の下方修正にはそれほどサプライズはなかった。

下方修正の原因は、前下期に行ったコスト削減策により店舗オペレーション力の低下が響いたことや、競合他社の積極的な出店により競争が激化したことで、来店客数が大きく減少したことにある。既存店売上は2015年度は4.2%減だったが、16年度は、4月9.5%減、5月9.4%減、6月8.5%減、7月4.9%減、8月9.1%減、9月6.1%減、10月4.1%増。10月こそ回復が見られるがそれまでは落ち込みが加速していた。

かっぱ寿司の経営不振は2012年度にさかのぼる

カッパ・クリエイトは、2013年2月期、14年2月期、15年3月期(決算期変更)と3期連続最終赤字を計上した。カッパ・クリエイトが運営するかっぱ寿司は1皿100円を中心とした低価格の寿司を提供する回転寿司店として成長してきた。2011年にスシローに抜かれるまでかっぱ寿司は回転寿司業界の売上トップだった。しかし、あきんどスシロー <未上場> が展開する「スシロー」や、くらコーポレーション <2695> が展開する「くら寿司」などとの競合激化で経営が悪化し赤字となっていた。

経営悪化の最大の理由は、「安かろう悪かろう」でかっぱ寿司がおいしくなかったことにあると言われている。ライバルが安くておいしい寿司を提供している中、カッパ・クリエイトの売上に対する直近5期平均の仕入れの割合は35%程度とくら寿司の40%程度より5ポイントも低くなっている。かっぱ寿司はそれだけ食材にお金をかけていないことになる。

同社もそれを認めており、自社工場の充実などで味の向上に注力しているがまだ顧客に認知されるまでには至っていないようだ。

回転寿司の御三家で「かっぱ」の一人負け

3期連続の赤字の真っ只中である2014年12月に、カッパ・クリエイトはコロワイド <7616> にTOBと第三者割り当てにより買収された。現在、コロワイド傘下にて経営再建中だ。コロワイドは東証1部上場で外食事業を幅広く展開する持ち株会社。居酒屋チェーン「甘太郎」、「北海道」などを運営している。系列グループで運営しているチェーン店には焼き肉の「牛角」もある。また、最近ハンバーガーチェーン「フレッシュネスバーガー」の買収で話題になった。

富山県発祥の回転ずしチェーン「かいおう」が8月末に倒産した。負債総額は6億7000万円。都内では「お台場」などに出店し、一時期はFCを含め全国36店舗を展開していた。

「スシロー」「くら」がいつ行っても混んでいる一方で、競合に敗れて退場するチェーン店もでてきているのだ。寿司業界は大手御三家のスシロー、カッパ、くらで市場の55%を占める寡占化が進んでいる。

カッパが停滞する一方で、くら寿司のくらコーポレーションは増収増益で拡大を続けており、15年10月期は史上最高益を更新している。未上場のスシローグローバルホールディングスも未上場会社であるため詳細は発表されていないが、16年9月期の中間決算(15/9-16/2)は、売上が700億円超の8%増、営業利益は過去最高だったようだ。一方で、カッパや元気寿司 <9828> の今期は大幅減益の見込みだ。

スシローは韓国系のプライベート・エクイティの投資会社に買収されるという噂がでている。買収されるとなれば、再上場がターゲットになるに違いない。

今後の回転寿司業界は味だけでなくハイテク化によるオペレーション強化や新展開が鍵になる。元気寿司の「魚べい」はタッチパネルのフルオーダー制を導入した。スシローは「七海の幸 鮨陽」で回らないレストランタイプの店を出店しはじめた。台湾や韓国など海外にも目を向けている。 寿司業界の競争が続く、かっぱの生き残りをかけた勝負もまだまだ続くだろう。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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