特集「財務諸表」の読み方 特集「保険」 専門家たちの金言 特集AI 人口知能がもたらす禍福 特集「本を読む。」 DC特集
銘柄分析
Written by ZUU online編集部 5,992記事

職場の健全な上下関係

ロート製薬 副業OKでも23期連続増収のワケ

ロート製薬,副業,決算
(画像=Webサイトより)

大手広告代理店の電通 <4324> に勤めていた新入社員の女性が過労自殺をし、違法な長時間労働が常態化していたことから、労働者一人ひとりの働き方、企業の労務管理を見直す動きが広がっている。

そんな中、ロート製薬 <4527> は、社員の副業を認めるユニークな取り組みを始めた。社員の本業への影響が懸念されるが、同社の業績は23期連続増収と好調に推移している。人材の成長に目を配りながら、企業としての基盤強化を両立できる秘訣はどこにあるのだろうか。

主力商品は目薬からスキンケアへ

ロート製薬の起源は1899年、大阪で山田安民氏が信天堂山田安民薬房を創業し、胃腸薬を手掛けたことだ。1909年には、会社のアイコンとも言える目薬の販売を開始。31年に滴下式の容器を目薬に採用し、業界に革命を起こした。アニメキャラクターが登場する目薬のテレビコマーシャルを記憶している人も多いだろう。

しかし、会社の成長を支えたアイケア商品は、いまはや全体の売り上げに占める割合は20%ほど。それに代わり、スキンケア商品が7割近くを占める主力商品に台頭してきた。ロート製薬のスキンケア商品と聞いてピンとこないかもしれないが、「肌ラボ」シリーズを手掛けている。

今でこそ富士フイルム <4901> など様々な異業種が化粧品市場に参入しているが、肌ラボの販売を開始した2004年は、まだ製薬会社が化粧品に乗り出すのは珍しい例だった。製薬業で培った技術を活かし、当時は馴染みの薄かったヒアルロン酸に着目して商品を開発。化粧品メーカーが販売する商品のように洗練されたパッケージとは言いがたいが、無駄を徹底的にそぎ落とすというコンセプトの下、シンプルなパッケージデザインで、詰め替え用の商品を導入するなど、化粧品業界にも革命をもたらしヒット商品となった。

雑談から半年で主力の化粧品誕生

化粧品事業の新規参入を後押ししたのは、社内の風通しのよい雰囲気だったという。このあたりはTV東京「カンブリア宮殿」などでも紹介されているが、山田邦雄会長がトップに就いてから、老舗企業の伝統にとらわれない改革に乗り出したようだ。

たとえばそれまで個室が設けられていた役員室はすべて廃止され、一般社員と机と並べるようにレイアウトを変更。会社の重役が隣にいるだけで緊張していまいそうな雰囲気だが、それを和らげるためにも、ロート製薬では役職で呼ばずに、「ロートネーム」というあだ名で声を掛け合う。山田会長も「邦雄さん」というロートネームで部下から呼ばれるという。

部下と上司が気軽にコミュニケーションを取れる環境が醸成され、社員が化粧水についてのアイデアを話していた雑談に山田会長が加わり、商品開発につながった。

一般的な企業であれば、会社のトップを目の前にして、新しいアイデアを語るのに萎縮してしまいそうだが、それまでの改革が奏功した格好だ。その意思決定のスピードも驚異的だ。雑談からスタートした肌ラボは、わずか半年で商品化にこぎつけたという。閉鎖的な職場であれば、ちょっとした社員のアイデアは、上司へのプレゼン、役員会での新規事業への参入の是非など、方針を決めるのに要する時間は計り知れない。

兼業、社内ダブルワークで自分磨き

社員のアイデアを汲み取るのは商品開発だけにとどまらず、ロート製薬では副業を認める「社外チャレンジワーク」と、社内の複数の部署に在籍して仕事ができる「社内ダブルジョブ」という2つの制度が、社員の提案によってスタートした。

前者の社外チャレンジワークは、終業後や休日に本業に支障がない限り、兼業をすることを認め、収入を伴う仕事に従事することもできるようになる。すでにボランティア活動や資格を活用して薬剤師として働き始めた社員もいるという。後者の社内ダブルジョブでは、30人を超える応募があり、目薬と化粧品、営業とマーケティングなど複数の部署を兼務する社員が活躍している。部署をまたいで仕事をすることで、縦割りになりがちな組織で、部署間の連携強化にも効果が期待できる。

ロート製薬は「NEVER SAY NEVER」をコーポレートスローガンに掲げている。直訳では、「できない・不可能とは言わない」。典型的な日本の会社では、企業戦士として仕事に勤しむように解釈されるところだが、ド根性精神を推奨する内向きの発想ではない。会社の枠組みを超えて、より社会へ貢献し自分を磨くことをロート製薬は目指している。そのために前述の2つの制度を活用しているのだ。

新しい制度を通して、限られた社内の場にとどまらず、社員が様々な経験を通して、視野を広げることで、肌ラボに続く商品のアイデアが生まれ、風通しのよい職場で、スピード感を持って更なるヒット商品の誕生が訪れる日も近いかもしれない。ユニークな職場環境が、今後も好調な業績に好影響を及ぼすか、その先行きに注目が集まる。(ZUU online 編集部)

【編集部のオススメ記事】
ビジネスもプライベートも「プラチナ」カラーに染める(PR)
「メルカリ上場」と日経が報道、時価総額1000億円超のユニコーン企業
時代が変わっても変わらない金投資の魅力とは?(PR)
100万円で79万円儲かる?「究極の」資産運用術とは
情報は欲しいけど有料は…な方におすすめ「情報の宝庫」とは(PR)

ロート製薬 副業OKでも23期連続増収のワケ
ZUU online の最新記事を
毎日お届けします
PREV 進化する無印良品 「不揃い 宇治抹茶チョコがけいちご」など...
NEXT ANA決算、減収増益でも手放しで喜べないワケとは