米国におけるチャリティーへの寄付金額が、2009年の経済危機以来、最高額に達していることが、全米慈善統計センター(NCCS)などのデータから明らかになった。

しかし所得と比較して不自然なほど高額の寄付金額を申告しているケースも目立ち、公益寄付金控除を隠れみのに、税金逃れをしている米国民に警告が発せられている。

「控除はあくまで自己申告」の落とし穴?

米国における2014年のチャリティー寄付総額は3583億8000万ドル(40兆9807億円)。72%に値する2585億1000万ドル(約29兆5606億円)を個人世帯による寄付が占めている。次いで財団(15%)、遺産贈与(8%)、法人(5%)という割合だ。

経済危機直後に2215億6000万ドル(約25兆3353億円)と、前年比31億5000万(約3602億250万円ドル)減まで大きく落ちこんだ寄付の規模だが、米経済が落ち着きを取り戻すとともに年々拡大。過去最高水準に達している。

日本同様、米国でもチャリティー、慈善活動などへの寄付金が一定の条件を満たす場合、公益寄付金控除として所得から削除される。控除はあくまで自己申告に基づいて行われ、実際に監査がはいるケースは年間1%にも満たないそうだ。

税金対策として慈善活動に巨額の寄付を行う富裕層が多いことは知られているが、米国内国歳入庁(IRS)の統計によると、年間所得200万ドル(約2億2852万円)以上の層による2014年の調節後総所得(AGI)に対する公益寄付金控除の割合は平均5.6%。

これに対して2万5000ドル(約286万円)以下の低所得層の対AGI公益寄付金控除は、12.3%にも及ぶ。2万5000ドルから5万ドル(約286万円から571万円)の層は6.8%、5万ドルから7万5000ドル(約571万円から857万円)の層は6.8%と、超富裕層よりもはるかに高い。

例えば年間所得が12万ドル(約1371万円)の場合、公益寄付金控除の平均額は3600万ドル(約41万円)前後とされている。しかし税金対策としてその何倍もの金額がチャリティーに寄付されているとなると、あまりにも不自然だ。IRSが把握しているよりも、多額の寄付金が自己申告されている可能性が否めないということになる。こうした不自然な自己申告に「十分注意を払うよう」、呼びかける声が高まっている。(ZUU online 編集部)

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