はじめに
人生のビッグイベントの一つともいえる結婚。そして、その次に訪れるライフイベントに、出産がある。家族が1人増えることは、何にも代えがたい喜びだが、現実的に考えれば、子育てにはお金がかかる。子供1人を大学卒業させるまでに、いったいどの程度の金額が必要かご存じだろうか。
子育てに必要な教育費用とその資金づくりについて紹介していこう。
平均的な1人当たりの教育費用は
1人の子供を幼稚園3歳から大学まで通わせるといくらかかるのだろうか。
文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査」によると、幼稚園3歳から高校までに必要な学習費(塾や習い事の費用も含む)は、全て公立の場合で約540万円だった。すべて私立の場合には、約1770万円で、約3.3倍になる。さらに、大学に通わせると、国立大学で年間約65万円、私立では年間約136万円必要になる。もし、医科・歯科系の大学に進学した場合には、さらに多くの費用がかかるだろうし、もちろん、この額には食費や衣服、おもちゃ代、レジャー費などの養育費は含まれていない。
教育資金の目標額と貯める時期
では、実際にいくらの金額をどの時期までに用意しておく必要があるのだろうか。
まずは、小学校入学前に幼稚園や保育園に通わせるのか、幼稚園なら公立か私立なのかを選択することになる。さきほどの「子供の学習費調査」によれば、2016年の公立幼稚園の学習費総額は約23万4千円である。それに対し、私立幼稚園の場合、総額は約48万2千円と公立の約2倍の費用がかかる。
保育園やこども園は、居住している地域や世帯年収、子供の年齢、保育所に通う兄弟の数などによって保育料が変わる。保育園によっては、保育料のほかに、給食費、延長保育料、送迎バス費、諸経費などがかかる場合がある。また、認可保育所と認可外保育所でも料金は異なる。
子供を保育園に入れることができれば費用を抑えることができるが、都市部では待機児童が多く、確実に保育園に入れるとは限らない。このため、私立幼稚園に通わせることになる場合も想定して、子供の入園時期までに50万円程度用意できれば、その後の進路のための貯蓄に専念することができるだろう。そして、小学校に通う6年間のうちに、多くの費用がかかる私立への進学を前提に、目標金額を定めておくのが無難である。私立中学の受験料は、1校あたり2万円から3万円だ。受験料と入学金等にあてる費用50万円ほどは準備しておきたい。
こうして見てみると、金額が大きいだけに、教育資金のための貯蓄の開始時期は、できる限り早く始めるのがよいだろう。保育園・幼稚園、小学校の時期は、教育費の負担は小さく、期間も長い。多額の教育費が必要となる中学~大学の時期に慌てることがないよう、できる限り先を見据えて費用を貯め始めるのが望ましい。