マツダ,スカイアクティブ
(写真=sippakorn/Shutterstock.com)

2011年のデミオからその技術が搭載され始め、先日発表されたばかりのCX-5まで、ずっと継続されているマツダの技術「スカイアクティブテクノロジー」。

エンジン、トランスミッション、プラットフォームと、クルマのベースとなるものを新たに構築し直した、マツダが研究開発した新しい自動車テクノロジーの総称だ。

スカイアクティブが生まれた背景

構想はどこから生まれたのだろうか。それはマツダが広島の企業であるということと深く関係している。戦争で多くのものを失った広島の人々の不屈の精神が、マツダの社風にも宿っているからだ。たとえ逆境にあっても、世界一を目指すチャレンジ精神、その広島なりのDNAがこのスカイアクティブを生み出したと言えるだろう。

開発、生産、営業機能などが各地に点在する自動車メーカーが多いなか、マツダでは、それらが広島の同じ敷地内に集約されているため、垣根を越えたコミュニケーションが活発で、「One Mazda」とも言うべきマツダの文化醸成が成し遂げられたことも、寄与している。

マツダの命題である「走る歓び」を追求するためにゼロベースで見直すことから生まれたのが、スカイアクティブテクノロジーである。

選べるパワートレーン、トランスミッション

心臓部ともいえるエンジンだが、ガソリンエンジンのSKYACTIV-Gと、ディーゼルエンジンSKYACTIV-D、そしてSKYACTIV-HYBRIDがある。

SKYACTIV-Gでは14.0と言う世界で初めての高圧縮比を実現し、その効率を大幅に高め、燃費やトルクを15%向上させた。

そしてディーゼルのSKYACTIV-Dでは低圧縮比によって、従来比約20%燃費を改善している。高効率ターボチャージャーの採用により低速から高速までスムーズでリニアなレスポンスと低速域の大幅のトルク向上を実現した。また、ディーゼルで問題となる高価なNOx(窒素酸化物)の後処理なしで日欧の排出ガス規制をクリアした、クリーンディーゼルエンジンだ。2012年のマツダCX-5から採用となった。

またガソリンエンジンをベースに下ハイブリッドモデルをアクセラに採用している。これによりアクセラ一車種でガソリン、ディーゼル、ハイブリッドと3つのパワートレーンが選べることになった。輸入車ではしばしば見られるものの国産乗用車では初めて隣ユーザーの好みに合わせた車種10モデル展開となっている。

そしてオートマチックトランスミッションはオートマチックのSKYACTIV-DRIVEとマニュアルのSKYACTIV-MTの2つだ。

SKYACTIV-DRIVEではDCT、CVT、従来型のATなど全てのトランスミッションの利点を集約したものを目指して開発されている。ロックアップ領域を大幅に拡大し、伝達効率の向上とマニュアルトランスミッションのようなダイレクト感を実現し、従来比4~7%の燃費向上を達成している。

SKYACTIV-MTは、スポーツカーのような警戒でセット感のあるシフトフィール、そしてベストインクラスの軽量でコンパクトなマニュアルトランスミッションとなっている。マツダはマニュアルトランスミッションを重視する数少ない国産車メーカーだ。最新技術のSKYACTIVの中でもマニュアルトランスミッションを蔑ろにしない点は、MTファンにとって嬉しいことだ。

世界初のコントロールシステム

クルマはボディや骨組みもとても重要である。SKYACTIV-BODYは、基本骨格のストレート化、連続化を推し進め、8%の軽量化と30%の剛性アップで、高い剛性と軽量化の両立をしている。

日本をはじめ、諸外国の衝突安全評価を最高レベルでクリアする衝突安全性も備えたものだ。先のアクセラは、2016年度自動車アセスメント予防安全評価において、2016年度から新たに設定された「ASV++」を獲得した。

そしてSKYACTIV-CHASSIS(スカイアクティブシャシー)は、サスペンションやステアリングの機能を徹底的に見直し、シャシー全体で従来比14%の軽量化を達成している。

さらに、今回のアクセラから、SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS(スカイアクティブ ビークル ダイナミクス)は、スカイアクティブ技術のユニットを統合的に制御することで人馬一体の走行性能を高める車両制御技術の総称だ。

その第一弾としてG-Vectoring Control(G-ベクタリング コントロール)がある。これは、ドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させることでこれまで別々に制御されていた横方向と前後方向への加速度(G)をコントロールし、四輪への接地荷重を最適化する、効率的な車両挙動を実現する、世界初の制御技術となっている。

他メーカーで、ここまで統一的なクルマ作りをすることはほとんど見られないので、その意味ではライバルがいないとも言えるのではないだろうか。今後は最新の仕組みがアクセラ以降の車種にも搭載され、スカイアクティブの高度化が予想される。

人馬一体の走りのために追求を続けられているスカイアクティブ技術が素晴らしいのは、マツダとしての統一感があり、ユーザーはボディタイプ、トランスミッション、パワートレーンなどを好みに合わせて選ぶことができることである。結果的にユーザーファーストのクルマ作りをしているのがマツダなのだろう。(モータージャーナリスト 高橋大介)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)