転職,ランキング,DODA
(写真=Lewis Tse Pui Lung/Shutterstock.com)

インテリジェンスの転職情報サービスDODAが発表した2016年の平均年収ランキングで、前回2位だった金融の投信/投資顧問が1位に返り咲いた。2位以下に医薬品メーカー、医療機器メーカーと医療業界が続いたが、トップ10までには金融と医療業界ばかりランクイン。2014年まではトップ10にランクインしていたコンサルティングファームが26位に転落してしまった。

近年の傾向として金融業界と医療業界の上位ランクインで平均年収が高くなっているようだ。まずは業種別ランキングのトップ10をみてみよう。

業種別では金融業界がトップ10を席巻

10位 自動車/輸送機器メーカー
9位 CRO/SMO/CSO
8位 損害保険
7位 証券会社
6位 信託銀行
5位 家電/モバイル/ネットワーク機器/プリンターメーカー
4位 電子/電気部品/半導体メーカー
3位 医療機器メーカー
2位 医薬品メーカー
1位 投信/投資顧問

業種別平均年収トップ10のうち、4業種は金融業界が占める結果となり、金融業界全体の給与水準の高さを裏付けるような形となった。意外にもメガバンク(都市銀行)は12位となりトップ10には入れず。

損害保険が前年比+60万円と大幅年収アップを果たし14位から8位まで順位をあげている。保険業界は運用利回りの低下などを受けて収益環境が厳しくなっており、合併など業界再編の動きが加速している。その結果、年収が相対的に高い40代以上の中堅層が転職市場に出てきており、今回の平均年収調査に占める中堅層の割合が増加したことが年収アップの要因のようだ。

証券会社は株式市場の低迷を受けて前年比でマイナス18万円となったが、元々の給与水準が高いためトップ10内を維持した。医療業界では医薬品メーカーやそれに関連するCRO/SMO/CSOの年収が前年比で低下したが、こちらも証券会社と同様に元々の給与水準が高いためトップ10を維持する結果となった。業種別では総合的に高度な専門性が要求されやすい業種が上位を占める形となった。

職種別でも金融が1位2位を独占 専門職の年収が高い

業種別では金融の投信/投資顧問が1位となったが、職種別でも金融が1位2位を独占する結果となっている。

職種別トップは企業買収などに携わる投資銀行業務、2位はファンドマネージャー/アナリストと投資に携わる職種となった。投資銀行業務は2015年も職種別でトップとなっており、元々の給与水準が高めに設定されている。

ファンドマネージャーやアナリストも給与水準は高めに設定されている職種である。これらの職種は専門職であり、高度な知識やスキルが要求される仕事であるため給与水準が高く設定されているのだ。

同様に高度な知識やスキルを要求される専門職であるMRや知的財産/特許もトップ5にランクインする結果となっている。特に知的財産/特許は前年比+67万円と大幅な年収アップとなった。企業のグローバル展開が進んでいることや商品サイクルが短くなり、新商品が相次いで市場に投入されることが増えてきたことにより、この職種のニーズが高まったことが要因とDODAは分析している。

業種別と同様に、高度な専門性が要求される専門職の年収が高くなる傾向があるようだ。

なぜ投信投資顧問業界は高給取りなのか

金融業界は全体的に年収が高いという傾向が見てれるが、その中でも投信投資顧問がトップなのはなぜだろうか?

理由は大きく2つ考えられる。1つ目は高度な専門性が求められ年収が高いファンドマネージャーやアナリストが全体の平均年収を押し上げている可能性だ。特に外資系金融機関の場合は人材の流動性が高く転職に対する抵抗感が少ないうえ、給与が非常に高いため一部が全体の平均年収を押し上げやすい。実際、消費者金融や信販/クレジットなど同じ金融業界でも専門性があまり高くない業種は平均年収も低くなりやすい。本ランキングでも消費者金融は46位、信販/クレジットは30位である。

2つ目は業界構造だ。投信/投資顧問は複数の証券会社や銀行などの金融機関に自社の金融商品を販売してもらうビジネスモデルを基本的に採用している(もちろん例外もある)。他社のリソースを使ってビジネスをするため、少人数の人間で大きなビジネスを展開しやすいため、平均年収が高くなりやすい可能性も考えられる。

今まで見てきたように、高度な専門性が求められある業種や職種ほど年収が高くなる傾向があることが改めて浮き彫りになった。また、企業のグローバル展開や商品サイクルの短命化、ビッグデータの活用など、時代背景を反映した職種の年収が上昇していることが確認された調査結果だったといえるだろう。(ZUU online 編集部)

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