SG証券・会田氏の分析
(写真=PIXTA)

シンカー:鉱工業生産の在庫指数がトレンドからどれだけ乖離しているのかを計測した。新興国のストック調整が一巡するなど、10-12月期には在庫調整が一気に進展し、12月の在庫指数はトレンドを4.4%下回るところまで低下した。12月にはトレンドを、実質輸出が1.6%、生産指数が2.9%上回り、生産・在庫循環が上向き始めたことが確認されている。

12月の鉱工業生産指数は前月比+0.5%とコンセンサス(同+0.3%)を若干上回る結果となった。

在庫調整が一巡し、生産が増加を始め、生産・在庫サイクルが上向き始めている。

鉱工業生産の在庫指数がトレンドからどれだけ乖離しているのかを計測した。

2016年にはグローバルな景気・マーケットの不透明感が強く、在庫指数は2月から9月までトレンドを平均して2.1%上回り、在庫調整が生産活動を抑制してきた。

しかし、新興国のストック調整が一巡するなど、10-12月期には在庫調整が一気に進展し、12月の在庫指数はトレンドを4.4%下回るところまで低下した。

10-12月期には資本出荷(除く輸送機械)が前期比+3.2%と、3四半期連続で増加していることが、グローバルな製造業のストック調整の一巡と、設備投資モメンタムの回復を示している。

12月にはトレンドを、実質輸出が1.6%、生産指数が2.9%上回り、生産・在庫循環が上向き始めたことが確認されている。

11月の生産指数が前月比+1.5%と強かったため、12月の上昇は若干であったが、10-12月期は前期比+2.0%と3四半期連続の上昇となっている。

4-6月期の同+0.2%、7-9月期の同+1.4%から加速感がある。

11月には経済産業省も鉱工業生産の判断を「持ち直しの動き」に上方修正している。

1・2月の経済産業省生産予測指数も、前月比+3.0%・+0.8%と堅調である。

2017年には、グローバルな景気・マーケットの不安定感を各国の政策対応で乗り越え、先進国の堅調な成長が持続している間に、その好影響が波及して、新興国が減速した状態から脱していくとみられる。

そして、停滞していた世界の貿易量が回復するとともに、円安も進行し、これまでの円高によって抑制されてきた日本のシェアも回復し、輸出と生産は拡大していくとみられる。

米国新政権の保護主義的な政策も短期的なインパクトは小さいと考える。

輸出、生産、在庫のトレンドからの乖離

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司

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