米大統領,年金,米国
(写真=Thinkstock/GettyImages)

大統領退任後に純資産総額を8000万ドル(約89億7760万)まで増やしたビル・クリントン元米大統領に代表されるように、寛大な年金手当に加え講演会、執筆活動で「現役時代より稼げる」といわれる歴代米大統領の優雅な老後。

しかしそんな優雅な老後にも改革の波が押し寄せ、オバマ元大統領の手当は過去4人の歴代大統領中、最低水準となる35万9000ドル(約4046万円)まで引きさげられた。

現役時代の収入は?

まずは米大統領の現役時代の収入から見てみよう。給与は時代とともに上昇し、ジョージ・W・ブッシュ元大統領以降は約40万ドル(約4599万円)のラインを維持している。ホワイトハウスが公表した確定申告書から算出されたバラク・オバマ元大統領の2015年の年棒は43万6065ドル(約4987万円)。国家を背負う重圧に比例する金額かどうか、判断に苦しむところだ。

ロサンゼルス・ドジャースのピッチャーであるクレイトン・カーショウ選手の同年の年棒(3100万ドル/約 35億4578万円)などと比較してしまうと非常に低く感じるが、例えば日本の内閣総理大臣の2016年推定年収は5141万円(データ:年収ラボ)、近年の英国首相の年棒は15万ポンド(約2148万円/データ:フルファクト)前後だと考えると、けっして低い方ではない。

そのうえ米大統領一家にはホワイトハウスが無料の住居として提供されるほか、専用リムジン、飛行機、ヘリコプターなどが使い放題だ。一般人には避けてとおることが不可能な住居費や交通費が就任中はほぼゼロと考えると、かなりの高収入といえるだろう。

元大統領の生活を一生涯保護する「Former Presidents Act」

退任後も自国の大統領を務めた威厳を維持できるようにとの取り計らいから、歴代米大統領およびその夫人には米法律集第3編102条「Former Presidents Act(FPA)」が適用される。

トルーマン元大統領の経済的苦難をうけ1958年に成立したこの法律には、退任後の年金は勿論、事務所開設・運営費用、人件費、移動費などが含まれている。また一生涯にわたる秘密情報機関の身辺保護なども定められている。

規模ははるかに縮小されるものの、大統領時代の延長上に位置する生活が生涯保証されるということだ。

一律年金プラス経費が引退後に支給される

議会調査局(CRS)の昨年の発表によると、2016年度の元大統領年金支給額は閣僚1級の年棒に値する20万5700ドル(約2345万円)。この金額がバラク・オバマ元大統領を始め、ビル・クリントン元大統領、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ジョージ・H.W.ブッシュ元大統領などに現在支給されている固定年金ということになる。

すでに述べたように、前大統領には固定年金とは別に「追加経費(additional expenses)」を議会から受けとる権利が与えられている。各大統領が年度ごとに予算を組むのだが、請求額は各元大統領によって大きく幅が開く。例えばジミー・カーター元大統領の2015年の予算が43万ドル(約4896万円)であったのに対し、ジョージ・W・ブッシュ元米大統領の予算は109万8000ドル(約1億 2500万円)とほぼ2倍だ。この差を生みだしているのは、主に事務所運営費の差だとされている。一例を挙げるとブッシュ元大統領の事務所の年間家賃は、カーター元大統領の事務所の年間家賃11万2000ドル(約1273万円)の4倍に値する43万4000ドル(約4933万円)。

しかしここに来て改革の兆しが見え始めた。オバマ元大統領が退任にあたり請求した58万8000ドル(約6593万円)は却下。最終的には過去4人の元大統領の中で最も低い35万9000ドル(約4046万円)のみが支給されることとなった。

共和党の法案により年金支給額に制限が?

元大統領に支給される手当はすべて米国民の税金で賄われているが、「現役時代から高所得層に属していた元大統領に、退任後も経済的な優遇措置をとる必要はない」との声が強まり始めている。

2015年には共和党が歴代米大統領手当の近代化を図る法案「Presidential Allowance Modernization Act」を成立させた。これは年金、経費ともに年間支給額の限度を20万ドル(約2274万円)に設定するというものだ。さらには年間40万ドル(約4548万円)以上の収入があった場合、過剰分が支給額から1ドル(約114円)単位で削減されることになる。

しかし多数の歴代米大統領が退任後の講演会や出版物で現役時代を上回る収入を得ている事実を考慮すると、この法案が議会を通過したところで懐の痛み具合は低そうだ。

近年の元米大統領中最も裕福なのはクリントン元大統領

その最たる例が「現役時代はオバマ元大統領の半分の収入しかなかった」といわれるビル・クリントン元大統領だろう。2001年の退任から2016年までにヒラリー夫人とともに稼いだ講演スピーチ料は、1億5300万ドル(約173億9610万円)といわれている。

現在までに4冊の著書を出版しているが、退任後に執筆した「My Life」では150万ドル(約1億7055万円)を前金で受けとり260万冊の売上を記録している。

純資産総額は推定8000万ドル(約89億7760万)。ジョージ・ワシントン元大統領(5億2500万ドル)やトーマス・ジェファーソン元大統領(2億1200万ドル)には到底かなわないものの、1970年代以降に大統領を務めた中では首位を独占している。どうひいき目に見ても年金は不要だろう。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)