世界最強の保険会社と名高い英ロイズが、勤務時間中の飲酒行為を禁止する新たな就業規則を設けたとして波紋を呼んでいる。

過去2年間、苦情または懲戒処分をうけた事例の半分に飲酒行為との関連性が見られたことが規則変更の引き金となったが、伝統ともいえる「パブでちょっと一杯」の習慣の廃止に従業員からは不満の声があがっている。

市場評論家ブイク氏「従業員にとって生き残り戦の時期」

日本の常識では想像もできない「保険員の勤務時間中の飲酒」だが、英国では「業務に差し支えない自己責任の範囲内」で容認している企業も珍しくない。

英スタンダード・イブニング紙が入手した社内メモによると、ロイズは昨年HRポリシー(従業員の就業ガイドライン)の見直しを実施した結果、ロンドンオフィスに勤務する800人の従業員に対し、基本就業時間(午前9時から午後5時)の飲酒を一切禁ずると通達。規則に違反した者は解雇処分という厳しい罰則を設けた。

この改革に従業員は猛反発。「次は早寝しろという規則が設けられるかも」「時代錯誤」「昔は楽しい職場だった」など、様々な批判があがっている。また「勤務中の飲酒の限度を心得ている従業員もいる」と、すべての従業員を偏見でひとくくりにする不公平さを指摘している従業員も見られる。一部からはロイズの建物に従業員に任期のパブがはいっているため、「誘惑に負けやすい」などという言い訳めいたコメントも寄せられている。

投資銀行、パンミュアー・ゴードン・インベストメント・バンクの市場評論家、デヴィッド・ブイク氏は、金融関連企業が人件費節減に本腰をいれている近年、「従業員にとっては生き残り戦の時期が訪れている」と冷静に分析。金融市場自体が競争世界に転じ、責任意識の重要性が問われているという。

またアルコールに依存するロンドンの労働者専用カウンセリング団体「クラブ・ソーダ」の元カウンセラー、ローラ・ウィロビー氏は、英国では仕事に飲酒を持ちこむ傾向が強い点に懸念を示す一方で、より野心的な若い年代(25歳以下)の飲酒率はそれ以上の年代より低いとコメントしている。

「自由を奪われる」という従業員の憤慨も理解できなくはないが、問題の根本は「仕事にアルコールが必要」という環境自体にあるのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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