新政権により再交渉にはいる北米自由貿易協定(NAFTA)。様々な経済的影響が懸念されているが、エコノミストと実際の労働者の見解にはかなりの温度差が生じているようだ。
米大統領選挙以前に実施された世論調査でも5割が再交渉を望んでいたことに加え、自由貿易に対する自国へのマイナス影響を指摘する声が高まりつつあった。

「あらゆる貿易協定が米国にとってマイナス」と5割が回答

1994年に米国、カナダ、メキシコ間で成立したNAFTAだが、「米労働者や企業にとって不公平な協定」であるとし、1月23日、新政権は再交渉の意向を表明した。2000年以降、ミシガン州だけでも30万件の職が失われているなど、NAFTAが米製造業の雇用、しいては米社会に与えた打撃は計り知れないとされている。

CNNの報道によると、これに対し一部のエコノミストは「雇用流出は製造産業のテクノロジー化が原因」と指摘。米ボールステイト大学が昨年実施した調査でも、87%がエコノミストの意見に同意していたという。つまり再交渉で米国に有利な条件に持ちこめたとしても、大きな雇用の伸びは期待できないという見方だ。

しかし過去20年以上にわたりNAFTAの影響を直接体感してきた労働者は、180度異なる見解を示している。CNNの取材に応じた多くのミシガン工場員が、エコノミストの意見が見当違いであるとコメント。

61歳のフォード工場員は「NAFTAは米労働者にとって史上最悪の取引だった」と語り、ロボットによる自動化を歓迎している。別の工場員も「ロボットのおかげで作業中の事故が減った」とその貢献度を高く評価するなど、「米製造業を圧迫しているのはロボットではなくNAFTAである」と再交渉を支持する声が圧倒的だ。

昨年7月、米世論調査会社、ラスムッセン・レポートが行った調査でも回答者1000人中50%がNAFTAの再交渉を望んでいたほか、49%が「NAFTAにかぎらずあらゆる貿易協定が米国にとってマイナス」と回答した。自国利益優先主義加速の兆しが、すでに現れ始めていたということだろうか。(ZUU online 編集部)

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