経済協力開発機構(OECD)による「2017年南米経済予想レポート」が発表され、働き盛りの若者の6割が貧困に苦しんでいるなど、貧困削減と繁栄の共有を達成するうえでの課題がまだまだ山積みである現状が浮き彫りになった。

一時的に増加した中流階級層も、経済基盤の特に脆い国を中心に減少していくと見られている。

政府に対する不信感をつのらせる南米の若者

貧富格差の激しさは想像を絶するといわれる南米。2015年には700万人の南米人が貧困層におちいり、貧困率が29.2%にまで上昇。貧困人口数は1750万人に達した。

経済成長期には順調に数字を伸ばしてきた中流階級層も、2500万人から3000万人で頭打ち。今後は3人に1人が貧困層に逆戻りすると予測されている。

OECDは米国とつながりの強いメキシコ、中米、カリブ地域は比較的ネガティブな影響に耐久性があるとする一方、政策的枠組みが脆弱な国ほど不況の波が荒くなるとの見解を示している。

希望のもてる要素としては、強力な労働力となりえる若者人口が多い点が挙げられている。南米には1億6300万人の15歳から29歳がおり、これらの若年層が雇用市場に貢献することができれば、大きな経済効果が期待できるだろう。

しかし近年教育システムが著しく向上したとはいえ、まだまだ一定の水準に達していないことは明らかだ。現実的には1億6300万人の若者が定職につけず、1億人を超える若者が貧困に苦しんでいる。この傾向は若年層の女性により強く見られる。

若年層の教育や育成をより強化し。経済機会を創出できるか否かが南米の明暗をわける課題となりそうだ。

OECDは南米の若年層に焦燥感や政府に対する不信感がただよっている点も指摘している。「選挙の透明性を信用する」若者は36%。他加盟国平均(62%)の約半分だ。(ZUU online 編集部)

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