かつては35歳が転職の限界と言われ、ミドル世代の転職はとくに厳しいものだった。しかし近年では、転職成功者の平均年齢は緩やかな上昇を続けているという。「転職成功者の年齢調査」によると、2016年下半期の転職者の平均年齢は過去最高の32.5歳となった。この10年間で実に3.4歳もアップしている。
転職者の平均年齢は32.5歳
この調査は総合人材サービスのインテリジェンスが運営する転職サービス「DODA(デューダ)」が行ったもの。調査対象は、2007年7月~2016年12月に転職したDODAエージェントサービスの利用者約12万人だ。
2016年下半期の最新調査で、転職成功者の平均年齢は32.5歳となった。前回(2016年上半期)からは0.2歳のアップ。DODAが転職者の年齢について調査を始めたのは2007年下半期からで、当時の平均年齢は29.1歳。2016年下半期の32.5歳という平均年齢は、調査開始以来最も高い数字だ。
調査では男女別転職成功者の数字も発表している。男性の平均年齢は33.0歳、女性は29.9歳となった。2007年下半期の平均年齢と比較すると、男性は3.4歳、女性は2.3歳上昇している。男女ともに2016年下半期が過去最高の平均年齢となっている。
「24歳以下」「40歳以上」の増加が目立つ
なぜ転職成功者の平均年齢は上がっているのか。
年功序列、終身雇用に代表される従来の日本型雇用システムなかでは、企業が中途採用を行う機会は少なかった。しかし、近年では雇用形態や働き方の多様化が進み、広い層の人材が求められるようになっている。第二新卒など若手の採用が中心だった時代から、企業ニーズに合った幅広い層を獲得する時代へと変わってきているのだ。
転職成功者の年齢割合を見てみると、その変化がわかりやすい。調査では「24歳以下」「25~29歳」「30~34歳」「35~39歳」「40歳以上」の5ブロックに分けて、各年齢層の割合を示している。最も割合が大きいのは「25~29歳」の層で35.8%。次いで「30~34歳」25.1%、「40歳以上」16.2%、「35~39歳」14.0%、「24歳以下」8.8%と続く。
全ての年代で転職成功者は人数を増やしているが、このうち前回調査から割合のポイントを伸ばしたのは、「24歳以下」と「40歳以上」の層だ。それぞれ1.3ポイント増、1.1ポイント増となっている。どちらもこの2、3年で大きく数字を伸ばしているという。また、「40歳以上」の増加幅が大きいことからは、ミドル層の転職のチャンスが広がっていることがうかがえる。
新規事業の立ち上げやグローバル化など事業の新たな展開を図っている企業にとって、ミドル層の採用は強力な武器となる。なぜなら、事業の成功には即戦力となる有能な人材が欠かせないからだ。マネジメント能力も求めるとなると、必然的に年齢も絞られることになる。
40歳以上の83.4%が転職経験アリ
ここまで述べてきたように、転職に際しては、以前のような年齢の制限はなくなってきているようだ。では、転職回数についてはどうだろう。一般的に、転職回数が多ければ多いほど就職に不利だというのが通説になっているが、DODAの調査では予想外の結果が表れている。
なんと、「40歳以上」の転職成功者のうち83.4%が転職経験アリだという。過去の転職経験は「0回」だという人は16.6%しかいなかった。転職回数の内訳は「1回」が18.9%、「2回」21.0%、「3回」19.4%、「4回以上」24.0%となっている。「4回以上」と答えた人が多いことに驚く。
30歳未満ではやはり初めての転職であるケースが多く、「24歳以下」の88.5%、「25~29歳」の69.5%が転職回数「0回」と答えた。30歳を超えると、転職回数の多い人が徐々に増えてくる。「30~34歳」では転職回数「0回」42.6%、「1回」30.8%、「2回」17.4%、「3回」6.8%、「4回以上」2.4%となった。「35~39歳」では転職回数「0回」23.5%、「1回」28.2%、「2回」23.5%、「3回」14.5%、「4回以上」10.2%となっている。
近年の中途採用においては、転職回数の多さがそのままマイナスポイントになることはなさそうだ。キャリアアップや新しいフィールドを求めての転職は、もはや特別なものではない。年齢の高さや転職回数の多さは、転職活動の大きなハンデではなくなってきている。
若手もミドルも転職成功者に
転職成功者の平均年齢が過去最高になった要因としては、雇用形態や働き方の多様化が進んだこと、また、即戦力となる実務経験者が求められていることなどが挙げられる。
売り手市場が続く今の時代、企業は自社のニーズに合った人材を柔軟に求めている。若手からミドルまで、どんな層でも転職に成功するチャンスがある時代なのだ。(渡邊祐子、フリーライター)
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