ニュージーランド北部、ホークス・ベイやロトルアで、一風変わった高齢者による労働市場が拡大している。
「コフィンクラブ」では自分用の棺を手作りするところから始まり、チャリティーに寄付する棺作りのプロジェクトなども運営。人との交流をとおし材料費だけで自分の理想の棺が仕上がるうえに、クリエイティブな技術も身につくとあって、徐々に会員数が増えているそうだ。
高齢者が社会に貢献・参加しやすい機会を増やす
「DIY(Do It Yourself)=自分自身でする」と「Coffin=棺桶」をかけ合わせたコフィンクラブ。要するに「自分で棺を手作りする集まり」だ。
自分の棺を用意するという行為を「縁起でもない」と見なす人も多いだろうが、誰でもつかはお世話になるものだ。人生最後の機会を利用して、自分好みの棺を手作りするというのもけっして悪い案ではないだろう。欧米では生前にオーダーメイドの棺や葬儀を準備しておく人も増えている。
ニューヨーク・タイムズ紙などの報道によると、ニュージーランド初のコフィンクラブは2010年に設立された。当時、ロトルアの元介護士、ケイティ・ウィリアムズ氏が自宅の庭で即興のワークショップを始めたことがきっかけだといわれている。
アイデアはそこから広がり始め、ロトルアの「キウイ・コフィンクラブ」、ホークス・ベイの「DIYコフィン・クラブ」などが設立された。
2013年に「DIYコフィン・クラブ」を開始したホークス・ベイのテリー夫妻は、定年退職後、高齢者が楽しめて有意義な時間を過ごせる趣味を探索していたという。DIYと社交クラブの要素を組み合わせたDIYコフィンクラブは、現在会員120人にまで成長した。70代半ばを中心に最高年齢94歳の会員たちが、今日も生き生きとDIYに励んでいる。
クラブでは自分用の棺は勿論、古い家具などの資材を利用してボランティア用の棺も作っている。内装には防水加工の施された布を用い、製品基準も満たす本格的な棺だ。基本的な棺の材料費は170ドル(約1万9091円)。クラブ会員費は年間7ドルから17ドル(約786円から1786円)を納めるだけで、誰でも参加できる。
「手作り棺」という発想は日本では受けいれられにくいかも知れないが、高齢者の意欲と能力を高め労働市場への進出を広げる機会として、体に負担がかかりにくい「ものづくり」の場を増やしていくというのも、高齢化社会の対応策のひとつとなるだろう。(ZUU online 編集部)
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