SG証券・会田氏の分析
(写真=PIXTA)

シンカー:1月の輸出と生産の動きは、旧正月の日取りの影響が大きいため、2月と合わせて見る必要がある。1月の輸出と生産は弱く、2月はその反動で強く出ることになるだろう。2月には両者とも大きくリバウンドし、グローバルな生産・在庫循環の好転と円安を背景とした回復がより見えやすくなるだろう。

1月の鉱工業生産指数は前月比-0.8%(コンセンサス+0.4%)と弱く、6ヶ月ぶりの下落となった。

1月の輸出と生産の動きは、旧正月の日取りの影響が大きいため、2月と合わせて見る必要がある。

今年の旧正月は1月28日で、昨年の2月8日より早かった。

結果として、1月の輸出と生産は弱く、2月はその反動で強く出やすくなる。

1月の実質輸出は前月比-1.1%と弱く、生産も経済産業省の予測指数である同+3.0%を大幅に下回った。

一方、2月の経済産業省予測指数は前月比+3.5%と強く、1月の在庫指数は前月比0.0%と抑制されている。

昨年末に経済産業省は鉱工業生産の判断を「持ち直しの動き」へ上方修正したが、その判断に変更はなかった。

2月には両者とも大きくリバウンドし、グローバルな生産・在庫循環の好転と円安を背景とした回復がより見えやすくなるだろう。

企業活動の持ち直しも徐々に明確になってきている。

10-12月期の実質設備投資は同+0.9%と、7-9月期のマイナス(同-0.3%)から明確に持ち直した。

10-12月期の資本財(除く輸送機械)の出荷も前期比+3.3%と3四半期連続で増加した。

1月も前月比+0.7%と堅調で、在庫が同-5.2%と減少し、2015年1月以来の低水準になっていることをみると、予想以上に設備投資関連の動きが出てきている可能性がある。

人手不足により、企業は効率化と省力化を、設備・機器への投資で進めなければならなくなっていることが支えとなっている。

資金循環統計で上昇してしまっていた企業貯蓄率が再び低下を始めたことと整合的な動きだ。

ただ少し不安なのが、3月の経済産業省予測指数が前月比-5.0%と弱いことだ。

黒田日銀総裁は1月31日の定例記者会見で、「現時点では、新政権の経済政策の具体的な内容は明らかとなっていませんが、米国の政策運営は、米国経済だけでなく世界経済や国際金融市場に大きな影響を及ぼすため、新政権の政策運営の方向性やその影響についてはよく注意してみていきたい」と指摘している。

企業も同じであり、米新政権の政策の動きとそれにともなう世界経済と国際金融市場の動きを見極めようとしていると考えられる。

グローバルな生産・在庫循環の好転と円安の環境に変化はないことを確認し、調整がかなり進展し在庫水準が低いこともあり、3月の生産計画は大きく上方修正されることになると考えられる。

3月の弱さを含む経済産業省の予測指数通りだと1-3月期の生産指数は前期比+0.8%となっており、4四半期連続の増加となる可能性は高いと考える。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司

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