海賊とよばれた男
(写真=PIXTA ※画像はイメージです)

サラリーマンをしている人の中で「ビジネスのネタがない」と悩んでいる人は数多い。ここでいうビジネスのネタとは、仕事や商売をする上で必要な「発想力」とか「ひらめき」「アイデア」などのことを指している。だが実際には、少し外に目を転ずるだけで、参考にできることはたくさんある。

映画は、手軽にビジネスを学べる「良いお手本」

社会人が発想力を鍛える方法としては「本を読む」「セミナーや講演会に行く」など、いくつか考えられるだろう。だが、そこまで身構えなくても、もっとラフにアイデアを取り入れられる手立てはある。たとえば「映画から学ぶ」というのは、楽しみながらビジネスのヒントも得られるので、とりわけオススメの学習法だ。

ここでは一例として、現在上映中の映画『海賊とよばれた男』を元に、筆者なりの学びのポイントをお伝えすることにしよう。

この映画は、社員数人の機械油販売から身を起こし、一代で出光興産を世界的な企業に育て上げた出光佐三(いでみつ・さぞう)の物語だ。詳しくは本編をご覧いただければと思うが、簡単に内容をお話しすると、大正から昭和にかけて、激動の時代を生き抜いた出光の半生を描いているのだ。

「既存勢力」を打ち破る2つの方法

ストーリーの中心となっているのは、日本が太平洋戦争に負けて焼け野原になった状態から「どのようにして世界のメジャーを相手に渡り合うか?」ということだ。

出光は、ご存じの通り石油の精製・販売を行っている会社だが、もともと石油業界自体は、アメリカのジョン・ロックフェラーが1870年にスタンダード・オイルを創業したことに始まる。同社は1911年に独占禁止法によって33社に分割、それらが後に石油メジャー(国際石油資本)を形成し、1970年代頃までほぼ世界の石油業界を掌握する存在となっていた。

戦後の世界は、必ず石油が経済の根幹となることを見抜いていた出光は、メジャーの傘下に入ることを潔しとせず、自立を貫いた。1949年(昭和24年)、日本の石油配給公団が廃止され、元売り制度が発足。出光も元売り業者に指定されたが、メジャーの息のかかっていない指定企業は同社だけだったという。

当時、改革者の出光を快く思っていなかった者は国内にも多く、石油の販売業者指定の際など、既存勢力が出光を排除しようとする動きはたびたび見られた。それをどうやって乗り切ったのかというのが、この映画で学ぶべき第一のポイントと考える。詳細は映画に譲るが、これに関しては会社でプロジェクトなどを遂行する際などにも大いに参考になるだろう。

基本的に、筆者は既存勢力を打ち破るには2つの方法しかないと思っている。それは、次の2つだ。

(1)既存勢力のいない前例なき分野に進出し、そこから広げること
(2)既存勢力に不満を持っている人を味方につけ、その人たちを動かすこと

既存勢力のいない「フロンティア」を目指す

では、(1)と(2)をそれぞれ解説していこう。

まず(1)についてだが、現在すでに出来上がっている業界は、たいてい既存勢力によって利権を押さえられており、新参者が入り込むのは至難の技ということが多い。

現在でいうと、民泊のAirbnb(エアービーアンドビー)が利用者に便利で革新的なサービスを始めているものの、旅館業界などを筆頭に同社のサービスに反対する動きがあるために、法改正がなかなか進んでいないことが好例で、ご存じの方も多いと思う。しかしこうした動きも、既存勢力の手が及ばない範囲ならば口出しできなくなる。

一例を挙げると、筆者はサラリーマン時代に社内ベンチャーを立ち上げたが、1世紀近くの社歴を持つ1部上場メーカー内にあって、ほぼ横からの干渉なしに新事業をのびのびと行うことができた。これは、社内にその事業について知っている者がひとりもいなかったからだ。

「共通の敵をつくる」戦法は今でも有効

続いて(2)についてだが、これは出光が取った方法だ。これを行う際に有効なのが「共通の敵をつくる」ことだ。どういうことなのか説明しよう。

当時、石油業界はメジャーによって占拠されていたため、彼らを怒らせることは石油の供給を止められることを意味していた。また、価格なども基本的に彼らに決定権があった。

こうした中にあって、外国資本の傘下に入らなかった出光は「世界を相手に戦う企業」として、世論を味方につけることに成功。後には、イギリスメジャーが牛耳っていたイランと直接取引を行い、それによるメジャーからの訴訟をも退けた際には、国民から「国際社会に一矢報いた」と大喝采を浴びることとなった。

視点を現在に戻してみると、まさに(2)戦法によって、先の米国大統領選に勝利したのがトランプ氏だ。氏は既存勢力を向こうに回し「サイレントマジョリティー」と呼ばれる「もの言わぬ多数派」の声を代弁した結果、米国の頂点にまで上り詰めた。氏が勝てたのは、決して偶然ではないのだ。

「大人の勉強」とは、楽しんでするもの

ここまで『海賊とよばれた男』を事例に、「既存勢力」を打ち破る方法についてお伝えしてきた。

この映画には他にも、「組織の長がどのようにしてチームをまとめていけばいいのか」ということや「逆境に立ち向かう方法」など、見るべきポイントはたくさんある。

「大人の勉強」とは、決して「机に向かってするもの」ばかりではない。大切なのは、新しいものを取り入れることだ。ぜひ、あなたなりの「学び方」「楽しみ方」を見つけていただきたい。

俣野成敏 (またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

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