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投資の基礎
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子どもに伝えるお金の哲学(6)

投資で傷口を広げない方法 株の「選球眼」を磨くには?

株式投資
(写真=PIXTA)

投資そのものの面白味を味わえるのは、株式投資かもしれません。株式投資には、何といっても数ある企業から投資先を選ぶワクワク感があります。自分の選球眼や世の中を読む目が、もっとも試される場ともいえるので、自ずと投資家マインドも高まるでしょう。

そうはいっても投資の初心者ですから、何かしら投資の目安は必要です。株は取引市場があるので「流動性・換金性」は除いて、「安全性」と「利殖性・時間」の原則に沿って考えてみましょう。

(本記事は、菅下清廣氏の著書『一生お金に困らない子どもを育てる45のルール』(PHP研究所)の中から一部を抜粋・編集しています)

株に「絶対に安心」はない

まず、債券や投資信託に比べると株式投資はリスクが高いといいましたが、株のなかでもリスクの高低があります。より安全な株式投資とは、より安全な企業の株を買うこと。すなわち、経営状況が安泰なトップ企業や一流企業の株を買うことです。ただし、これにも例外があります。

かつては「潰れるはずのない企業」とされていた企業が、あるきっかけで傾き、株価が暴落してしまうこともあるのです。たとえば東京電力は、東日本大震災を境に株価が暴落しましたし、日本航空も、かつては磐石だと思われていたにもかかわらず、経営再建問題に陥りました。

いずれも「絶対に安心」と思って10年も20年も大量に株を持ち続け、しかも売り時を見極められなかった人は、大損害を被ったはずです。こういうケースが起こり得るので、一流企業の株を買ったといっても、安心しきってはいけません。危ういと世間が騒ぎだす前に株を手放せるよう、社会状況や企業動向を注視しておくことが重要です。

自分に身近な会社の株は、安全な可能性が高い

安全性の見極め方として、もう一つ有効なのが、「自分に身近な企業」という視点です。社名は聞いたことがあるけれど、その会社のモノやサービスは見たことも触れたこともない……という会社の経営状況を見抜くのは、初心者では、ほぼ不可能でしょう。

でも、自分がよく使っているモノやサービスを提供している企業であれば、自分の肌感覚が、何より明確なセンサーになります。自分がいいと思うものは、ほかの人もいいと思っているはずです。そういう企業の経営が、急激に悪化する確率は低いと考えられます。それどころか、今後、伸びることも十分あり得ますね。

ですから、もし「使い勝手がいいな」「サービスが行き届いていて気持ちいいな」などと感じる企業があったら、その企業の過去数年の配当利回りの推移を見てみてください。もし増配し続けているのなら、まず株を買って間違いはないでしょう。

配当利回りに着目

では、「利殖性」はどうでしょうか。一番いいのは、株価が上がりそうな企業の株を買うことですが、これを最初から的確に見極めるのは、そう簡単ではありません。とりあえず株の売買による利殖性は差し置いて、ここは「配当利回り」の利殖性に注目しましょう。配当利回りとは、企業が「当社の株を買ってくれたら、1株当たり〇円をお支払いします」と約束している金額です。

ちなみに、「1株当たりいくら」というのは固定ですが、株価は変動するため、元本に対する利率は変化します。「1株当たり10円の配当金」の株を、1株110円で買って10円の配当金をもらうより、1株100円で買って10円の配当金をもらったほうが、元本に占める配当金の割合は高くなりますね。これは知識として頭に入れておいてください。

実際の投資判断を下す際には、もっとシンプルでかまいません。すなわち「より配当利回りの高い企業」が、利殖性の目安になります。配当利回りは、証券会社のサイト等で簡単に確認できます。低めでも3パーセント、高いものでは6パーセント近くという株もあります。

ただし、いくら配当利回りが高くても、経営が危なければ、配当金を得るどころか大事な種銭を失うリスクが出てきます。利殖性だけにとらわれず、最初にあげた「安全性」を忘れないでください。

したがって、「一流企業のうち、自分になじみがあって、より配当利回りの高い企業」を選ぶこと。さらには「一流企業といえども絶対はない」と心得て、一銘柄に偏らないようにすること。

まとめれば、種銭をいくつかに分け、配当利回りの高い順に複数の一流企業、それも自分の肌感覚でよさがわかっている企業の株を買うことが理想です。こう考えれば、世の中に企業は数多あれども、自分が投資すべき企業が自ずと見えてくるでしょう。一つの例としてですが、花王というみなさんがよくご存じの一流企業は、長年増配を続けて好配当です。業績も良好です。花王なら知っているというお母さんも多いでしょう。ほかにもこういった企業がないか探してみてください。

初心者は長期保有がおすすめ

株式投資の目安はわかった。ではそれに従って株を買おう、というところで、もう一つ、考えていただきたいことがあります。株を長期保有して配当金を得続けるか、それとも買った株が値上がりしたら売り、短期間で元本回収するか……つまり、三原則の「利殖性」とセットになっている「時間」について考えることで、自分の投資方針が固まるのです。

初心者なら、長期保有して配当金を受け取り続けるつもりで株を買い、もし株価が上がったら売ろう、というくらいユルめにかまえておくのがいいと思います。最初から「株の売買で儲けてやろう」と決めつけていると、日々刻々と移り変わる値動きから目が離せず、毎日、気が気ではありません。

それに、よほどの異常事態でない限り、世界経済は成長していくものです。つまり日々の上げ下げはあっても、大局的に見れば株価は徐々に上がっていくものなのです。かつて日本では、株を長く持っていても一向にお金は殖えないデフレ時代が続きました。でもアベノミクスの矢が放たれ、今やデフレ脱却、インフレ傾向になってきています。「失われた20年」を経て、日本もようやく「平時」になりつつあるということです。

傷が広がるのは「株の売り時」を見極められていないから

だからといって何でもいいというわけではなく、株の「選球眼」は磨かねばなりません。でも、自分で考え、選び抜いた株を買ったら、あとは値動きに一喜一憂せず、長期保有するつもりで悠然とかまえていればいいでしょう。そうしている間に、買った株の値がポンと上がるときがくるかもしれません。そのときには思い切って売ってしまうのも手です。

では、どれくらい上がったら売ればいいのかというと、これも個々の判断です。プロの投資家でも、30パーセント上がったら売る、いや50パーセントは上がらないと売らない、というように、方針は人それぞれです。

売り時の見極めについては、またあとでも説明しますが、まずは経験を積む一環として、10パーセントとか15パーセントとか、ちょっと株価が上がったときに売ってみるのもいいでしょう。そこで得た現金を次の種銭として、また例の三原則を参考に別の企業の株を買うのも、一つの手です。

何事もそうですが、手数を増やすほど、自分なりにコツをつかんでいけるものです。最初のうちはゲーム感覚で、ちょこちょこと取引してみてもいいでしょう。

では、逆に買った株がどんどん値下がりしている!となったらどうしましょう。結論からいえば、「値が下がり始めたら、どこで見切るか」をあらかじめ決めておくことです。これを、投資の世界では「損切り」と呼びます。

再び値が上がるのを待つ道もありますが、いったいいつ上がるのかなんて誰にもわかりません。もっといえば、ずっと上がらない可能性だってあります。上がるのを待つか、いっそ売ってしまうか。売ったあとに上がったら、悔しくて夜も眠れない……というのが人情でしょう。でも、そのまま売り逃して値が下がるに任せていたら、元本割れという傷はどんどん広がり、やがては致命傷となりかねません。

こんな事態は想像したくもないと思いますが、投資の世界には「100パーセント安全」はあり得ないのです。折悪く、買った株がずるずると値下がりするケースも、想定しておかねばなりません。
だからこそ問題は、「どこで損切りをするか」ですね。損をするとわかっているのに売るのは、ものすごく抵抗があるでしょう。じつは投資のプロにとっても、利食い(利益を出すこと)より損切りのほうが難しいのです。

『一生お金に困らない子どもを育てる45のルール』PHP研究所(2016/3/19)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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致命傷を負わないよう損切りの基準を決める

ここでは、また投資できる余力を残すと考えて、「10パーセント下がったら売る」と決めておきましょうか。10万円の種銭で始めたとして、1万円の損失であれば、また1万円を補てんして新たに投資するのも、決して難しくはないはずです。

前に、投資には、大らかな心が必要不可欠といいましたね。もし損切りすることになっても、「この程度の傷ですんでよかった」と思ってください。そして、たとえ売ったあとに値が上がったとしても、「次に好機が巡ってくるさ」と鷹揚にかまえていることも大切です。

私が証券会社の営業マンだったころは、よく「かすり傷なら、何度負ってもいい」といわれたものです。傷は傷でも、致命傷でなければ、すぐに治ります。傷が治れば、またチャレンジできます。さっさと損切りできたら、また次の投資先を探せばいいのです。

失った分は「レッスン料」であり、その穴を補てんするたび、あなたは確実に投資家として成長しています。損切りをすることで、心機一転、新たな投資に取り組めるのだと考えましょう。

菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。

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