副業,第二新卒
(写真=aslysun /Shutterstock.com)

現在、多くの企業では就業規則によって副業・兼業を原則禁止している。しかし、政府は今年度中にも「原則容認」へと方針転換する見込みで、副業解禁へと動く企業も増えていきそうだ。

そんななか、第二新卒・既卒者としての就活経験がある20代の意見を聞いたところ、3人に2人が「副業・兼業をしてみたい」と考えていることが分かった。

副業してみたい若者、68.5%

20代に特化した人材紹介会社UZUZが実施した「副業・兼業に関する意識調査」で明らかになった。調査対象は第二新卒または既卒者としての就活経験がある20代の男女101人。

サンプルは少ないため参考程度にしかならないが、「会社に勤めながら副業や兼業をしてみたいか」という問いには、全体の68.5%が「してみたい」と回答した。3人に2人以上の人が副業・兼業に興味をもっているということが分かる。

副業や兼業を「してみたい」理由について複数回答でたずねたところ、「収入を増やしたい」という答えが最も多かった(男性31.0%、女性36.9%)。続いて多かった回答は、「趣味を仕事にしたい」「本業以外のスキルを身につけたい」となっている。

副業の希望収入額はどれくらい?

副業・兼業をしてみたい理由では「収入を増やしたい」と答えた人が多かったが、実際に副業を行うにあたっては、どれくらいの収入を想定しているのだろうか。

調査では、「副業でどれくらいの収入を得たいと思うか」という質問もしている。男性で最も多かった希望収入額は「10〜19万円」で29.7%。次いで「100〜499万円」22.8%、「1〜9万円」21.1%という結果となった。女性では、「1〜9万円」が39.5%と最も多く、続いて「10〜19万円」20.9%、「20〜59万円」16.3%となった。男女合計での平均希望収入額は70万円となった。

副業の希望収入額については男女で差が出ており、女性では「本業の収入の足しに」と考える人が多く、男性では「ガッチリ稼ぎたい」と期待している人が多いことがうかがえる。

副業・兼業の経験者は13.6%

調査では、調査対象者のこれまでの副業・兼業経験についても聞いている。正社員として働きながら副業や兼業を経験したことがある人は、全体の13.6%だった。20代では8割以上が副業未経験であることがわかった。

さらに、副業・兼業経験のある人に、仕事で得ていた収入額をたずねている。その結果、男女全体での平均月収は4万1000円であることがわかった。男女別では、男性の71.4%、女性の100%で月収は「5万円未満」と答えており、男女ともに最も多い回答だった。ちなみに男性のその他の回答は、「5万円以上10万円未満」14.3%、「20万円以上」14.3%となっている。

先ほど紹介した希望収入額と比較してみると、これから副業・兼業をしてみたい人が希望する平均月収が70万円であるのに対し、副業経験者の平均月収は4万1000円となっている。理想は高いが、やはり現実は厳しいようだ。

政府の方針に賛成92.1%

冒頭にも書いたが、いよいよ副業解禁となる日が迫っている。これは、政府の掲げる働き方改革の一環として実施されるもので、厚生労働省が公開しているモデル就業規則のうちの副業や兼業の「原則禁止」を、今年度内に「原則容認」へと転換するというものだ。

このような副業や兼業を後押しする政府の方針についても、同調査では質問している。

「政府の掲げる副業・兼業の後押しなど、世の中の流れに賛成か」の問いには、92.1%が賛成と答えている。賛成の理由としては、「生産性の向上につながる」「経済成長が見込まれる」「個人の自由」といった意見が上げられた。一方、反対派の意見としては、「残業が多く副業なんて無理」「副業を後押しする前に給与水準を上げるべき」などの声があった。

就活の際の企業選びにも影響

副業・兼業を後押しする政府の方針については、9割以上の人が賛成だと答えている。では、第二新卒・既卒者として就活する20代にとって、副業・兼業の容認は企業選びにも影響するのだろうか。

調査では「副業・兼業を認めているかどうかは就活の企業選びに影響するか」と質問している。最も多かった回答は「少し影響する」の37.6%。次いで「あまり影響しない」34.7%、「全く影響しない」18.8%、「すごく影響する」8.9%となった。

「少し影響する」と「すごく影響する」を合わせると46.5%となり、半数近くが「副業・兼業の容認は企業選びに影響する」と考えていることがわかる。政府は柔軟な働き方を推進しているが、今の20代にはすでにその考え方が浸透しているのかもしれない。

副業・兼業に対する世の中の関心が高まる中、企業側にも柔軟な対応が必要だ。就業規則の見直しなど時代に合った変革を行っていくことが、人材の確保や定着にもつながっていくだろう。(渡邊祐子、フリーライター)

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