吉野家,牛丼,カラ牛
(写真=PIXTA ※画像はイメージです)

吉野家 <9861> と言えば安い・早い・旨いの三拍子揃えた牛丼を提供するファストフードチェーンとして有名だが、現在、業績不振に苦しんでいるようだ。

筆者も何度か吉野家HDで食事をしたことがあるが「つゆだく!」という言葉が初めて流行った頃は牛丼屋といえば吉野家で、競合他社の松屋、すき家あたりは言い方は悪いが脇役の座に位置していたように思われる。

その吉野家HDが、すき家を展開するゼンショーHD <7550> や松屋フーズ <9887> に業績面で大きく遅れをとっている。株価の動きや株価指標面でも顕著にその傾向が表れている。牛丼チェーン大手3社の業績推移、IRやメニューなどを確認しその原因を探っていきたい。

牛丼御三家「純利益の推移」を確認してみると

会社予想を含めた牛丼御三家の純利益の推移だ。

【吉野家】
15年2月期:9.4億円
16年2月期:8.3億円
17年2月期:19億円(会社予想)

【ゼンショーHD】
15年3月期:-111億円
16年3月期:40億円
17年3月期:70億円(会社予想)

【松屋フーズ】
15年3月期:6.4億円
16年3月期:16.1億円
17年3月期:21.5億円(会社予想)

※数値は四季報オンラインより引用

会社予想を含めた純利益の推移だけをみると、吉野家が16年2月期に落ち込んでいるものの、その後は盛り返す予想であることがわかる。ただ吉野家の会社予想は若干強気すぎると捉える向きもあるようだ。

株価チャート、上昇率は「松屋」の一人勝ち

まずは株価が業績に対してどの程度の水準かを確認してみよう。以下が3社の1株利益(会社予想)から算出された割安指標(PER)だ。

・吉野家HD 54.80倍
・ゼンショーHD 40.66倍
・松屋フーズ 38.82倍
(※数値はYahoo!ファイナンスより)

PERは一般には10倍程度を基準に考えてそれよりも下回っていれば割安だと判断される。サービス業である飲食はもともとPERの平均値が若干が高め(2月の業種平均 PERは24倍 ※JPX HPより)だが、それを考慮しても吉野家HDの数値が他2社に比べて高めであることがわかる。

ちなみに数値を記載することは控えるがどうやら会社四季報を提供している東洋経済予想は会社予想よりも吉野家HDの通期業績に対し、シビアな見方をしているようだ(吉野家HDと他2社のPERの数値の差がさらに開くということ)。

株価の業績に対する割安度を確認すると上記のような差があることがわかるが、株価チャートを確認しても同じことがわかる。アベノミクス開始直後の2013年1月の3社の株価から現在までの上昇率を見ると以下のようになる。

◯吉野家HD:51%上昇
◯ゼンショーHD:91%上昇
◯松屋フーズ:280%上昇

株価上昇率だけを見ると松屋フーズが圧勝ということになる。

牛丼チェーン3社のメニューからわかること

堅い話から離れて牛丼メニューを確認してみよう。

実際にウェブ上でメニューを眺めてみたが、すき家はマグロ丼やスイーツなど幅広く手がけているイメージだ。松屋は高級感や付加価値(プレミアム)を牛丼をつけると同時に食事に味噌汁をつけている。それに対して現状、吉野家は他2社にたいしてメニュー的には少し地味なイメージだ。

パイの奪い合いの中、新たな展開で盛り返すか

売上で苦戦しているのは吉野家もすき家も同じようなもので松屋のみが勝ち組となっているようだ。松屋はプレミアム牛丼を提供したり、必ず味噌汁をつけるなど顧客の心を捉える戦略に長けているように思える。

価格がそれほど変わらず、街を歩けばいずれかの牛丼店を見つけることができる飽和状態の現在ではパイの奪い合いを制するのは、ちょっとした変化を商品につけることができるかどうかなのかもしれない。

ただ、秋葉原店の外装が黒い「黒い吉野家」のメニューにある、牛丼の上に唐揚げを乗せた「から牛」がネット上で話題を呼ぶなど、牛丼一筋で展開してきた同社にも路線変更の兆しが見える。

業績が盛り返し基調の吉野家が業績を伸ばしていくことも予想される。今後も牛丼3社の動向から目が離せない。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「 インカムライフ.com 」。著書に「超優待投資・草食編」がある。

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