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(写真=PIXTA )

中国で韓国企業の商標を第三者が先行取得するケースが増えている。2014年に事業を開始し、日本にも進出した「ソルビン(雪氷)」は、韓国内で人気が出はじめた2015年に中国で第三者によって商標出願がなされたという。「パリバゲット」は勝訴したが、多くが係争中である。

韓国特許庁の発表では、2014年11月から2016年5月までの間に中国で先行登録された韓国の商標は1000件を超え、被害企業は600社を超える。商標の無断先行登録は、盗用商標の42.6%がフランチャイズ商標で、食品17.5%、さらに衣類13.2%、化粧品11.5%と続いている。

商標ハンターとは?

韓国特許庁によると、中国における韓流ブームの影響で、韓国企業の商標盗用被害が大幅に増えているという。韓国ドラマはタイアップ商品が多い。番組の途中で挟み込まれるCMは少なく、スポンサー企業の製品やサービスをドラマの登場人物などが利用する広告手法が多くとられる。中国で放映される韓流ドラマに登場するブランドを先行登録するケースが多い。

韓国の商標を狙った専門商標ハンターがいると韓国経済新聞は伝えている。「ブローカー」と呼ばれる彼らは商標を韓国企業より先に出願。一度に数百件の商標を出願しておいて、中国に進出する韓国企業に大金を要求する。韓国企業の中国進出の障壁にもなっている。

日本ブランドを盗用する韓国企業

商標の盗用は韓国にもある。韓国では、一定期間使用されていない商標は商標登録無効の申請によって取り消されるが、韓国企業による日本ブランドの盗用はその名称で事業を行っている例が多い。

モンテローザが韓国に「笑笑」をオープンさせたとき、すでに「WARAWARA」という商標登録がなされていた。WARAWARAは韓国で営業している日本式居酒屋チェーンである。モンテローザは「WARAWARA」の商標登録の無効を求め、勝訴確定まで2年かかった。韓国でダイソーを運営する大創アサン産業も、雑貨店「ダサソー」を商標権侵害として訴え、勝訴が確定するまで3年近くかかっている。ダサソーは判決後も営業を続け、2017年2月26日に、ふたたび罰金刑が言い渡されている。

2012年4月には、韓国の日本酒輸入会社がライバル社を商標権侵害で訴えるという事件が起きた。同社が所有する「辛口」「甘口」「特撰」などの商標を侵害したという訴えである。相談を受けた筆者はジェトロソウルなどと連携し、日本酒メーカーの協力を得て解決に導いたが、商標権者は継続使用しており、商標の無効申請は難しいと判断した。

なにもしない韓国特許庁

海外での知財裁判は費用と時間がかかる。ジェトロソウルは韓国において日本企業に関係する知財申請を監視し、登録を未然に防ぐ体制を整えた。日本の特許庁は、中国企業などによる「悪意の商標出願」に対して、取り消し訴訟を起こす中小企業へ補助を行う制度を整えている。

韓国特許庁は、海外進出を念頭に置いた商標戦略が求められると企業に呼び掛けている。英文や進出先の現地語による商標も確保しておくことが重要というが「自分の身は自分で守りなさい」と、企業に対して自前の防止努力を求めているにすぎない。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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