国際人材育成プログラム「デロイト・ユニバーシティ」が発表した「リスク・マネージメント・サーベイ」の最新版から、金融機関ではリスク・データおよびIT分野の対応強化が求められていることが判明した。
調査に協力した大手金融機関77社中、80%以上の金融機関が流動資産の換金を含む従来型のリスクに対しては効果的な対策をとっているにも関わらず、データ・ガバナンスなど近代的なリスク・マネージメントに対応できている自信があるのはわずか40%だ。そのためCRO(チーフ・リスク・オフィサー)の需要が急激に高まっている。
5割がCROをリスク管理の最高責任者と認識
回答は2016年下半期(Brexit以降、米大統領選以前の期間)、平均運用資産額13兆6000億ドル(約1512兆8640億円)の大手金融機関から収集された。金融機関で深刻なリスク要因とされているのは、「サイバー・セキュリティー」「人材確保」「新たなリスクへの非効率的な対応」など。中でもリスク・データ管理やITシステム関連の効果的な戦略に焦点が当たっている。
「効果的なリスク・データ戦略、管理構造が用いられている」と回答したのはわずか24%。「データ・プロセス設計(18%)」「データソーシング戦略(16%)」などで、対応しきれていない。規制改革に対するテクノロジー面での順応性についても52%が懸念を示している。
対照的に「流動資産(84%)」「証券の引受業務/年金準備金の積み立て(83%)」「資産/負債の総合管理(82%)」といった従来型のリスクへの対応は非常に効率的に行われている。
こうした回答結果から既存の金融機関の弱点が見えてくる。対応策として現在は92%がCRO(あるいは同等)の役職を設けている。CROの業務の94%はリスク管理フレームワークの構築・遂行および新たなリスク領域の洗いだし、リスク情報の報告構造の開発などだ。
リスク管理に関しては48%がCROを最高責任者と見なしており、CEO(27%)や最高リスク管理委員会(16%)、CFO(4%)などよりもはるかに重要視されている。それにも関わらず、CROを役員としてむかえいれているのは48%。また戦略リスクの重要性が増しているが、CROの意見やアイデアを積極的にとりいれようとしているのは60%前後だ。
今後CROの権限や影響力を拡大は勿論、人材育成などをとおして組織全体のデータ・リテラシーの最低必要水準を引きあげることが、弱点降服に貢献するのではないだろうか。(ZUU online 編集部)
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