投資家も世代交代
世界三大投資家もウォーレン・バフェット氏、ジョージ・ソロス氏が88歳、ジム・ロジャーズ氏が76歳と高齢だ。三名とも現役投資家ではあるが、特に90歳近い二名はいつ引退してもおかしくはないだろう。
そこで世界中の投資家たちが興味を持つのは、次世代を担うカリスマ投資家は現れるのか、ということだ。本連載最終回である今回【第7回】では、次世代の投資家について紹介する。
旧世代投資家の伝説的リターンと純資産
世界最大の投資会社バークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)であるバフェット氏の純資産は866億ドル。優良企業の株価が低迷しているときに大量に仕込み、忍耐強く値上がりを待つ「バリュー投資型」が得意で、倒産寸前の紡績会社バークシャー・ハサウェイを半世紀前に買収し、世界有数の持ち株会社に育てた。
同社のA種株式の価格は買収直後の1965年に一株当たりたった19ドルだったが、今やなんと全米一の約30万ドル、時価総額は5050億ドルを超える「お化け企業」である。
対して、「市場が不透明な時こそ黄金のチャンス」と信じるソロス氏の純資産は83億ドル。「市場は常に間違っている」という信念に基づき、投資家の行動により市場は常に変化し続けるとする「再帰性理論」を唱え、主に通貨投機で儲けてきた。1992年に英国通貨のポンドが急落した際にポンドを売り浴びせ、安くなったところで買い戻して20億ドルと言われる利益を得た。
一方ロジャーズ氏は1970年代、伝説的な米投資会社クォンタム・ファンドにおいてトレーダー役だったソロス氏のアナリスト役を務め、協力して10年の間に驚異の3365%というリターンを叩き出した。単純計算すると100万ドルの元手が10年をかけて3365万ドルに化けたという、それこそ伝説の話である。歴史的な大局観と相場師の野獣的な直観が、そうしたリターンを可能にしている。