ヘッジ・ファンドマネージャー,富裕層
(写真=Adrin Shamsudin/Shutterstock.com)

はじめに

本連載では偉大な投資家達の投資人生に迫る。具体的なノウハウについても多少触れるが、それよりももっと根本的な部分にフォーカスする。成功した投資家の生い立ちや思想といった哲学の要素が多いだろう。

ただし哲学だけでは投資で成功できない。投資においても土台には人生観や思想といった哲学的な要素があるのだが、当然それらを具体的なノウハウに落とし込む必要があるのだ。

そこで、哲学を各ポートフォリオに結び付けるところまで解説していく。初回である今回【第1回】では、まずはスケール感をざっくりと把握するために成功している投資家達の資産額について紹介する。

ヘッジファンド界で世界一の資産家はソロス

フォーブス恒例世界長者番付の2017年版では、ビル・ゲイツ氏につぐ世界二番目のお金持ちは、世界最大の米持ち株会社であるバークシャー・ハサウェイ社を経営している「オマハの賢人」ことウォーレン・バフェット氏だった(2018年版では3位)。

バフェットの資産は、世界3位のアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏(2018年版では初の1位)、4位のZARA創業者のアマンシオ・オルテガ氏、5位のフェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏を上回っていた。保有資産は756億ドル(2018年版では840億ドル)で、金融業界最大のお金持ちとして君臨している。バークシャー・ハサウェイ社は実質投資会社だが、割安株投資でロングオンリーの持ち株会社でありヘッジファンドではない。

金融界で2番目、ヘッジファンド・マネージャーとしては世界で1番のお金持ちは、ヘッジファンドのカリスマであるジョージ・ソロス氏だった。

ソロス氏の運用スタイルはグローバルマクロという世界の経済動向をみながら為替、株、債券などに複合的なポジションをとる戦略だ。その総資産は252億ドル(約2兆8000億円)に達していた。

2.8兆円というと実感がないかもしれないが、日本の企業の売上ランキングで言うとJR東日本 <9020> の年間売上に相当する。つまりソロス氏は、JR東日本を利用する人全員の一年間の支払いができるほどの資産を持っているというとてつもないスケールだ。

ソロス氏は16年、トランプラリーの初期に10億ドルのロスを出したと報道されたがその後挽回した。しかし17年末頃から資産の大部分を財団に移転させている。

ソロス氏を筆頭に、ヘッジファンド業界の資産家トップ10はすべて米国在住のヘッジファンドの創業者だ。全員がレジェンドと言われる人達ばかりである。

2位のジェームズ・シモンズ氏は、ルネッサンス・テクノロジーズの創業者。あまりメディアには登場しないため日本では知名度は今一つではあるが、ヘッジファンドにクオンツと言われる数理的アプローチによるコンピューターの取引の仕組み導入した先駆者だった。

3位のレイ・ダリオ氏は、世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者。ソロス氏と同じグローバルマクロ戦略をとる。運用資産は1500億ドル(約16兆8000億円)程度で、トランプラリーを先導したファンドマネージャーの一人だとも言われている。

ファンドマネージャーが莫大な資産を築いたのは、米国金融界のダイナミズムによるところが大きい。運用成績のいいトラックレコードをもつファンドには、超富裕者層や年金資金などから巨額の資金が運用委託される。一般的には、ヘッジファンドの報酬は成功報酬であり、儲けた額の20%程度が報酬となるシステムになっている。

たとえば、ダリオ氏が1500億ドルを運用していて、もし年間10%のパフォーマンスを上げたら、そのキャピタルゲインは150億ドルになる。その20%、つまり30億ドルがブリッジウォーター・アソシエイツにボーナスとして入ってくる仕組みだ。

ヘッジファンド・マネージャーの資産ランキングでなく、年間報酬ランキングを参考のために見てみよう。16年5月に発表された「インスティテューショナル・インベスターズ・アルファ」によると15年のヘッジファンドの報酬額ランキングでは、資産額で6位のシタデルのグリフィン氏と同2位のルネッサンスのシモンズ氏の年間報酬は17億ドルで1位だった。

資産では3位のブリッジウォーターのダリオ氏と資産で5位のアパルーサのテッパー氏が14億ドルで報酬では3位となっている。

運用に成功した場合の報酬が桁外れにでかいため、巨額資金を運用するファンドマネージャーは巨額の資産を築くチャンスがある。日本の金融界にもこういったスターファンドマネージャーが増えていくのだろうか。

ヘッジファンド・マネージャーの資産ランキング(2017)