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東京金融シティ構想発表

5月16日、日本経済研究センターと大和総研、みずほ総合研究所は「東京金融シティ構想」を発表しました。これは東京を、アジアを代表する国際金融センターに発展させるための提言で、個人金融資産の活性化や金融機関の集積への取り組みを促すものになります。そのため、国家戦略特区を活用し、東京都が、都内に拠点を新設する金融機関の地方法人税などを減免することが提言には盛り込まれています。他にも国内外の資産運用業者の集積を促すために、各種手続きを英語で完結できるための環境を整備するために規制緩和を促すことが求められています。さらに金融機関の労働規制や高度外国人人材の在留要件を緩和することも要求したり、人民元を始めとする他通貨決済の環境整備も要求したりします。このタイミングで「東京金融シティ構想」が発表されたのは、2020年の東京五輪開催が、東京をアジアの金融センターに発展させる追い風となると判断したからです。


提言の狙い

「東京金融シティ構想」をまとめた理由について、大和総研の武藤敏郎理事長は「金融を、収益力があり日本経済の発展に貢献できるようにすることは今後の日本経済の発展には不可欠だ」と述べています。そして政府が6月にまとめる成長戦略に、シンクタンクとして貢献できることを希望しています。提言の柱は、外貨建て決済の仕組みを整えることです。人民元はその筆頭としており、そのためにも日中関係の不安定な状態の改善を求めていますが、これは東京をアジアの中核金融都市にすることが狙いです。ライバルはシンガポールと見ており、政府が検討中の法人減税だけでなく、地方税である法人事業税や資産課税も軽くすることが必要だと考えられています。また、モデルとしては英国ロンドンのシティのような国際的な金融センターがあります。そのためにも、規制緩和やインフラ整備が必要だとしており、これについては東京都の舛添要一知事も前向きな姿勢を示しています。


国家戦略特区を活用

「東京金融シティ構想」の提言では、国家戦略特区の枠組みを東京の金融機能強化に活用したいとしています。前述通り、目標は東京をアジアの国際金融センターとするために、英国ロンドンのシティの様な国際的な金融センターとしての地位を獲得することです。そのための各種減税、規制緩和、インフラ整備をパッケージとして進める必要があり、舛添要一知事が前向きな姿勢を示していることで、政府の成長戦略に食い込める可能性があります。その際、2015年度から政府が段階的に法人税を引き下げる措置だけでは海外の金融センターに対抗するには不足で、東京都の地方税減税も行う必要があるとしています。この夏にも政府は東京など6箇所を特区とした特例措置をまとめる方針ですが、舛添要一知事はこの特区を活用して金融業を育てる意欲を示しています。