財政制度等審議会は4月18日に発表した「FinTech開発報告書」の中で、香港の中央銀行にあたる香港金融管理局(HKMA)が傘下、香港銀行間清算機関(HKICL)と仮想通貨を共同開発中であることを明らかにした。

このプロジェクトはブロックチェーン・コンソーシアム、R3の先導の元、複数の銀行からの協力も得て進められている。

卸売市場およびDVP(証券資金同時受渡)決済に仮想通貨を利用する想定

HKMAが独自の仮想通貨開発を視野にいれている可能性については、昨年11月に香港応用科技研究院(ASTRI)と共同で、ブロックチェーン技術に関する報告書を発表した頃から浮上していた。

プロジェクトの第1段階として、国内の銀行間および企業間清算システムで仮想通貨を利用した卸売市場およびDVP(証券資金同時受渡)決済が実行可能かどうかが試される。時期は第4四半期を予定しており、テスト結果に基づいて第2段階の精密な計画が立てられる。

近年は中央銀行による仮想通貨研究や開発が珍しくなくなってきたが、これほどまでに踏みこんだ概念実証が実施されるのは今回が初となる。カナダ中央銀行は「CAD Coin」、英中央銀行は「RS Coin」、オランダ中央銀行は「DNB Coin」など、それぞれの研究開発を進めているが、香港での動きが刺激となって同様の概念実証に着手する可能性が考えられる。

中国本土の中央銀行、中国人民銀行も仮想通貨発行に向け、ブロックチェーンの技術者を集結し着実に独自のプロジェクトを進行させている。中国政府は「金融システムのブロックチェーン化がもたらす恩恵(コスト削減、効率化、セキュリティー向上など)を認識している」とコメントしている。

HKMAは新たな報告書を今後数か月中に発表するほか、概念実証自体は年内の完了を目途にしている。( FinTech online編集部

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