medium_9371522650

第185回国会が平成25年10月15日に開会しました。
本国会では自民党安倍政権による経済成長を主眼とした「アベノミクス」の行方が注目されます。経済成長を主眼とした政治を掲げる以上、アベノミクスと経済・投資の関係は密接なものとならざるを得ない状況になっています。

一方で、投資自体に目を向けますと、現在は、2014年(平成26年)1月解禁のNISA制度が注目されます。本稿では、アベノミクスの流れに注目しつつ、NISA制度を利用した有効と考えられる投資方法(特に株式投資)についてまとめていきます。

政治の動向を把握しつつ、投資による資産運用をお考えの方のお役に立てば幸いです。


前提としてNISA(ニーサ/日本版ISA)制度の概要と活用方法

アベノミクスによる経済効果と株式の関係を考える前提として、2014年から始まるNISA制度の概要と活用方法について簡潔にまとめていきたいと思います。
NISA制度は、少額投資非課税制度といい、少額の投資から生じた利益について税金を課さない(非課税とする)制度をいいます。具体的には100万円までの投資から生じる利益については一切税金を課さない制度です。
極めて単純な例としては、例えば、100万円の株式を購入して、株価値上がりによって110万円で売却できた場合、10万円の利益には1円も課税されません。

2014年(平成26年)以降、投資で利益が出た場合の税率は原則として20パーセントとなるという見通しです。しかし、NISA制度を利用すれば、特例としてこの税金がかかりません。
上記の例で言えば、本来2万円の税金がかかるところ、それがかからないということになります。これは個人の方などによる少額の投資をしやすくしてお金の回りを良くするという目的のもとで実施されるものです。

NISA制度を利用するためには、特別な口座(NISA口座)を開設しなくてはなりません。NISA口座は1人1口座までしか作ることができないので、口座開設にあたっては手数料や利用のしやすさなどを比較して金融機関・証券会社等を選ぶ必要があります。

このNISA制度のもとで、アベノミクスによる株価上昇が見込まれる株式へ投資することである程度高い確率で利益を得ることが期待できます。このようなNISA制度の特徴を前提として、アベノミクスによる経済効果の恩恵を受けて、成長が期待できる株式銘柄を以下で述べていきます。


アベノミクスによる成長期待株1・雇用関係銘柄

アベノミクスのもとで成長が期待される株式銘柄としては、雇用関係の銘柄があります。
これはアベノミクスのもとで実施される大胆な雇用関係の制度改革によります。

安倍政権のもとでは、日本の労働力を高めるための政策の一環として、「雇用特区」の制度創設が進められています。雇用特区制度とは、特に能力の高い人材については、労働基準法等労働法令が定める労働者保護制度を適用しないという特別区を設置するというものです。

労働基準法等の労働法令は、基本的に労働者の権利利益を保護するための制度設計・法体系となっています。労働法は、労使関係はどうしても雇い主である使用者(会社等)の立場が強くなってしまい、労働者の権利が侵害されるという近代の経験を踏まえ、労働者の権利を強く保護する規制となっています(実際、労使関係において労働者の立場が弱いという事実は現在でも変わってはいません。ブラック企業や過労死などまだまだ労働条件の劣悪化という、近代と変わらない問題が一般的には今も続いています)。

このような労働法の規制は労働者の権利を守る上で極めて意義が強い反面、経済力の低下を招くというデメリットも内在しています。例えば、1日8時間労働が労働基準法の大原則であり(労働基準法第32条)この時間を超えて労働させる場合には、労士協定を結んだ上で割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法第36条)。この規制により、会社としては能力の高い人材に長時間働いてもらうためには、極めて高い人件費を支払わなくてはならず、企業の活力を弱体化させてしまいます。
その他解雇などについても、労働契約法及び判例の積み重ねにより、解雇は難しいことになっています。これは、企業にとっては、人件費の負担を負わせることとなり、企業活力向上のためには不都合である面があります。

そこで、アベノミクスでは、雇用関係について大胆な規制緩和を打ち出し、特定の区域(雇用特区)を設け、その区域では労働時間制限や解雇制限などの労働者保護規制を及ぼさないという制度を設けようとしています。この制度は、厚生労働省が反対の姿勢を打ち出しているものの、厚生労働省の意見は法的にも実質的にもやや抽象論のきらいがあり、雇用特区の施行の可能性は高いということができます。

雇用特区では、高い能力を持った人材が相応の給与(年棒制などが考えられます)を受ける代わりに労働者としての保護を一部受けなくなるというものなので、高度な人材を供給する会社の活動が活発になることが予測されます。
つまり人材派遣会社や転職支援会社です。具体的には、エン・ジャパンやリクルートなどの株式の株価向上が期待できます。

まだ雇用特区制度の具体的な施行までは決まっていませんので、アベノミクスの効果が出る前の早いうちに、NISA口座を作り、人材を扱う会社の株式を購入しておくことで、株価の向上による売却益などを期待することができます。


クールジャパン関係の銘柄

クールジャパンとは、日本独自の文化が海外において評価されている現象をいいます。
具体的には、アニメやゲーム、漫画・アイドル・ファッションなどが海外でとても高い評価を得ています。「anime」という言葉は、日本独自の言葉として海外で通じる言葉になっています。

安倍政権では、クールジャパン推進会議が設置され、経済の成長戦略の一部となっています。また、日本のアニメや漫画は、経済産業省でも後押しをしています。これらのアニメや漫画がアベノミクスのもとでさらに、後押しされれば、株価にも影響を与える可能性も大きいということができます。そのため、アニメやゲームの関連株が好調となる可能性があります。
具体的には、エイベックスや任天堂、角川ホールディングスなどの株が注目されます。


今後はTPPにも注目したい

このようにアベノミクスのもとでは、雇用関係やクールジャパン関係の株が注目できると言えます。
この他、現時点(平成25年10月時点)でさらに注目したい政治の動向としては、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)があります。
TPPでは、「聖域」とされていた農業などの分野についても議論の机上に乗せる方向性が見られてきています。そのため、TPPの動向次第では、さらに別の角度から、経済に影響が生じ、株価に影響することも考えられます。

株式は政治・経済・社会などの諸条件の影響を常に受けずにはいられない、すぐれて社会的な金融商品です。
今日高騰した株式が明日には大幅に下落する可能性もゼロではありません。つまり、ハイリスク・ハイリターンの金融商品です。
そのため、株式は余剰資金を活用して計画的に投資していただきたい金融商品です。

photo credit: Pasha_C via photopin cc

【関連記事】
NISA(ニーサ)とは?今さら聞けない少額投資非課税制度のポイント
NISA(ニーサ)で比較!今年、開設・乗換すべき証券会社はどこ?
NISA(ニーサ)で投資信託を始めるまでに知っておきたいこと
NISA(ニーサ)口座開設でもらえるキャンペーンを徹底比較!!
NISAで始める賢い資産運用〜口座開設の基本を解説〜
勝率9割超えの年も?人気のIPO株に非課税で投資する方法