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今回も『日経マネー』2014年2月号の「初心者厳禁! 中・上級者向けの刺激的な運用アイデア19選:裏NISA」で紹介されたユニークな運用法を紹介していき、それを適宜改善した手法を提案していきます。

今回紹介する手法は、引用元記事の項目のまま書くと、以下の4つです。

・毎月の積み立ての資金捻出が困難ならボーナスから資金を捻出せよ
・値動きが大きいブルベア型投信・ETFで積み立ててドカン!と殖やす
・手積みしてでも値動きの大きいファンドで積み立てろ!
・NISAは利益が出てこそ。覚悟を決めカントリーリスクを取りに行く


毎月の積み立ての資金捻出が困難ならボーナスから資金を捻出せよ

NISAの基本理念に「貯蓄から投資へ」というものがあり、NISAによって投資効率が悪い預金ではなく、少しずつ投資金額を積み立てていくという方向性に誘導していこうという目的があります。
月々の給与を預金している人は多いわけですが、家計上それもなかなか難しいという人も多いでしょう。貯蓄ではなく投資資金を積み立てていく場合も同じ問題が起こるわけですが、毎月は無理でもボーナスの一部を投資資金に入れるという方法が提案されています。

筆者も常々言っていますが、投資は余剰資金で無理無く行う方が良いと思われます。その意味で、ボーナス等収入に余裕が出る時に投資資金を積み立てる(例えばETFを買う)というのはドル・コスト平均法投資の実行にも適していると考えられます。


値動きが大きいブルベア型投信・ETFで積み立ててドカン!と殖やす

NISA口座では投信積み立てを考える人が多いという仮定を元に、この投資戦略を取る場合は値動きの安定した投信より値動きの大きな投信を選ぶ方が良いと指摘されています。
そのために、値下がり時にブルベア型投資信託をまとめて購入するという手法が提案されています。

NISAの理念や制度を見れば、投信積み立てを考える人が多いという仮定はそれほど間違っていないと思います。前節のドル・コスト平均法投資と比べて良いかは状況によって異なりますが、うまく値下がり時に購入出来れば良いのは間違いありません。

しかし、ここでは詳しくは説明しませんがブルベア型投資信託は長期保有には向かない金融商品です。
相場の上下落を繰り返すと原指標から乖離していき、複利運用の観点から長期保有をすると機会損失が出やすいからです。

長期積み立てにおいてボラティリティが大きい銘柄に投資するなら、先進国の新興市場指数(マザーズ・コア指数など)に連動するETFなどの方が良いでしょう。
特定のベンチャー銘柄への投資はリスクが大き過ぎて積み立てには向きませんし、ブルベア型投資信託は前述の観点から適切ではありません。


手積みしてでも値動きの大きいファンドで積み立てろ!

前節のブルベア型投資信託は積み立ての対象にはなっていないので、給料日など毎月一定の日に手作業で買い付ける事が提案されています。

これは要するにドル・コスト平均法投資のことですが、前述の通り、ブルベア型投資信託は長期積み立てにはあまり向かない事には変わりありません。


NISAは利益が出てこそ。覚悟を決めカントリーリスクを取りに行く

「仮に1~2年後にマイナスでも、5~10年以内に大きな利益」が出ていれば良いので、今からカントリーリスクを取りに行く事も可能だと指摘されています。
量的緩和縮小によって資金流出が懸念されるエマージング市場を敢えて狙いに行くなどの手法が提案されています。

とは言え、今の時期に敢えてエマージング市場に投資する必要は無いと言わざるをえません。
株式全体が駄目な時は金投資に流れたり、先進国株式が駄目な時はエマージング市場に流れたりといった全体的な資金移動のトレンドが出来るわけですが、先進国経済が上向いてエマージング市場から資金流出が起ころうとしている時に敢えてエマージング市場に投資をするという事に合理性を見出すのは難しいかもしれません。

そもそも、「仮に1~2年後にマイナスでも、5~10年以内に大きな利益」というように、今後数年はダウントレンドで、そこから上昇すると見ているのならば、ある程度下落してからエマージング市場に投資すれば良いのであって、今すぐエマージング市場に投資する必要は無いでしょう。もし、エマージング市場に投資したいならば、個別の有望株を探したり、今後の流れを見てエマージング市場のETFに投資をしたりする方が良いでしょう。


改善案

一連の提案を改善内容を含めて整理すると以下の3つになるでしょう。

・毎月一定額をマザーズ・コア指数ETF等ボラティリティが比較的大きくリスクが高すぎない銘柄にドル・コスト平均法投資する
・上記の場合において、毎月投資する事が難しい場合はボーナスなどを積み立てる
・エマージング市場からの資金流出に歯止めがかかった時にエマージング市場のETFなどに投資する

参考文献
萬真知子「初心者厳禁! 中・上級者向けの刺激的な運用アイデア19選:裏NISA」『日経マネー』2014年2月号

BY たけやん:経済学修士号取得後、株価推定事業・研究を行っている

photo credit: Werner Kunz via photopin cc

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