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今回も『日経マネー』2014年2月号の「初心者厳禁! 中・上級者向けの刺激的な運用アイデア19選:裏NISA」で紹介されたユニークな運用法を紹介していき、それを適宜改善した手法を提案していきます。

NISAを利用した「刺激的な運用アイデア19選」の紹介とその改善案(1)
NISAを利用した「刺激的な運用アイデア19選」の紹介とその改善案(2)
NISAを利用した「刺激的な運用アイデア19選」の紹介とその改善案(3)

今回紹介する手法は、引用元記事の項目のまま書くと、以下の3つです。

・毎年、金融機関を替えられるなら5種類の金融機関に分散だ

・日・米・豪。REITのETFでほぼ毎月小遣い稼ぎ

・変則ロールオーバーで最長14年、非課税運用!


毎年、金融機関を替えられるなら5種類の金融機関に分散だ

当初はNISA口座は1人1つで、一度開設すると最長4年間は口座を替えられないという規定でしたが、2015年からは複数の金融機関でNISA口座を容認する方針になっています。その事を利用し、毎年新しいNISA口座を開き、最大5種類の金融機関に口座を保有する事で、多くの金融商品やサービスを理解し、投資に対するリテラシーを養えると主張されています。

5種類の口座を開設すべきかどうかは分かりませんが、金融機関によって特色が異なり、一長一短という場合も多いので、複数の証券口座を持つ事は投資の多様性を広げる事に繋がるので、複数の証券口座を持つ事はNISA1に限らず良い事だと思います。


日・米・豪。REITのETFでほぼ毎月小遣い稼ぎ

REITは家賃収入の90%超を分配する仕組みなので、NISAの非課税というメリットを多く活かせるので、日米豪の分配月が多いREITを組み合わせる事で毎月分配金を受け取るという手法が紹介されています。

むやみなキャピタルゲインを狙わずに着実なインカムゲインを狙う投資手法は、投資としては極めて保守的かつ低リスクであり、投資初心者にとっては株主優待狙いと同様に敷居の低いものだと思われます。REIT指数がどのようなものか(構成される銘柄は何か、各銘柄はどのような不動産を保有しているか)を知った上で投資すべき事項だとは思いますが、REIT指数のインデックスファンドへの投資は堅実な投資として筆者も賛成します。

但し、本来は分配金をそのまま小遣いとして消費していくのは、複利運用の観点からは良くない事には注意しなければなりません。将来への資産形成の観点からも、分配金も再投資する方が良いので、毎月分配金を得られるというのは、それはそれで魅力的な投資手法だとは思いますが、長い目で見ればあまり合理的ではありません。


変則ロールオーバーで最長14年、非課税運用!

NISAの非課税期間は5年で、これをロールオーバーする事で最大10年間になります。しかし、2014年に運用を始める場合、以下のように2度目のロールオーバーを23年にする事で非課税枠を最大14年間になると指摘されています。但し、23年の非課税枠が100万円減って400万円になってしまう事には注意しなければなりません。

図:14年間NISAで非課税運用する方法

出典:萬(2014:87)

非課税運用を長くするというのは、それ自体としては合理的な手法だとは思います。一方でNISAの非課税枠金額は限定されるので、投資を始めるという点では良いですが、10年以上投資を続けた時に、NISAの少ない非課税枠で我慢出来るかは甚だ疑問です。10年も投資を続けていくと、徐々に積み立てていく場合でも、それなりに原資が溜まっていくと思うので、よりアクティブに運用したいと思う投資家も増えてくると思うので、これを実際に行う投資家がどれだけいるかは分かりません。


改善案

今回紹介した3手法は、それほど大きな問題がある手法ではないですが、敢えて改善点を踏まえて整理すると、

・証券会社のサービス特性(手数料や取扱銘柄など)に応じて、多様に投資出来るように複数のNISA口座を開設して投資する

・インカムゲイン狙いの銘柄に投資を行う(出来れば分配金を再投資する)

・積み立て枠として長期でNISA口座の非課税枠を使いつつ、徐々に通常口座での投資に慣れていく

となります。NISAはあくまでも「貯蓄から投資へ」の移行を促進するものなので、それ自体の利用を目的化して口座を増やしたり投資を増やしたりするのではなく、あくまでも長期的な資産運用の為にどうすれば良いかを考えて利用する方が良いと思われます。

参考文献

萬真知子「初心者厳禁! 中・上級者向けの刺激的な運用アイデア19選:裏NISA」『日経マネー』2014年2月号

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